投稿者「海部 健三」のアーカイブ

遅れる州の対応 カナダ自然保護団体早期取り組み訴え(日刊 世界のウナギニュース 2016年8月23日)

★遅れる州の対応 カナダ自然保護団体早期取り組み訴え
カナダの自然保護団体、カナダ野生動物連合(Canadian Wildlife Federation, CWF)など4団体は22日、州の天然資源森林省(Ontario’s Minister of Natural Resources and Forestry、山岡訳)に、オンタリオ絶滅危惧種条約(Ontario Endangered Species Act、山岡訳)に従いアメリカウナギの保全方策の開始を求める嘆願書を提出した。団体は7月12日にも嘆願書を提出したが返事がまだないという。この条約は2008年6月30日に施行され、125種以上の絶滅危惧種に対し科学的根拠に基づいた保全方策を5年の間に立てる事を定めている。方策が立てられた後は、州が9か月以内に方策の骨子と優先度を決めて回答し、実際の取り組みが始まるという流れ。しかしアメリカウナギに関しては、猶予の5年を5か月過ぎた2013年11月22日に方策が立てられたまま、州からの回答がない。CWFの保全生物学、淡水生態学のリーダーLapointe氏は、州は早く回答すべきであり、本種が生き残れるかどうかはこの条約にかかっていると話した。
“Conservation community calls for end to delays in implementing recovery actions for endangered American Eel” (Canadian Wildlife Federation, CA)
http://cwf-fcf.org/en/news-press/news-media/releases-1/2016/conservation-community-calls.html?referrer=http://www.cwf-fcf.org/en/?referrer=https://www.google.co.jp/

★100万ドル分の密輸蒲焼き押収 犯人ら逮捕
アメリカのブルックリンで22日、約100万$(1億円)相当の密輸品の冷凍ウナギかば焼き2,000箱が押収され、犯人ら3人が逮捕された。蒲焼は6月1日に中国から持ち込まれていたもので、トラックの運転手に偽の文書を渡して運ばせ、商品を市や州内の市場やレストランで売っていたという。
“Three men caught in Brooklyn with $1M worth of stolen barbecued eels” (Daily News New York, US)
http://www.nydailynews.com/new-york/brooklyn/men-caught-brooklyn-truck-stolen-barbecued-eels-article-1.2761531

★ニュージーランドのウナギ怪死 死因判明
一昨日お伝えしたニュージーランド北島Waikawaの小川でウナギが死んでいるのが見つかった事件で、原因は下水処理業者が誤って小川に生活排水用のパイプを入れたためであったことが23日判明した。業者の罪は問われなかった。地方議会は遠くからでもわかるような色別のパイプを設置するなどの再発防止策を検討するグループを立ち上げている。
“Investigation uncovers cause of eel deaths in Picton stream” (stuff, NZ)
http://www.stuff.co.nz/environment/83460965/investigation-uncovers-cause-of-eel-deaths-in-picton-stream

「日刊 世界のウナギニュース」は 平日の(およそ)毎日、研究室スタッフの山岡が世界のウナギニュースを厳選し、海外のものは抄訳をつけてお届けします。

堰撤去翌年に成果 イギリス(日刊 世界のウナギニュース2016年8月22日)

★堰撤去 翌年に成果
イギリス南部を拠点に活動する自然保護団体Westcounty Rivers Trustと建築物の歴史的情報の記録などを行っているCornwall Archaeologyは昨年、回遊魚の移動を阻んでいるとされていたLerryn川の堰を撤去した。その結果、今年、ウナギや、サケ、ブラウントラウトの稚魚などが見られるようになった。この団体は2014年にはDevonとCornwallの河川横断構造物を200基以上撤去し、トータルで1,000km以上分の成育域を拡げた。
“Small fry sightings give hope of new life in river” (The Herald, UK)
http://www.plymouthherald.co.uk/small-fry-sightings-give-hope-of-new-life-in-river/story-29636933-detail/story.html
昨年の堰撤去活動:http://wrt.org.uk/and-weir-off-on-the-lerryn/

★ウナギの怪死 またニュージーランドで
18日、ニュージーランド北島北部Marlborough地方のWaikawaの水路でウナギが11匹死んでいるのが見つかった。原因は現在調査中。2月には付近のRarangiでも100匹のウナギが死んでいるのが見つかっており、環境には影響のない程度の殺虫剤が検出されたが原因は特定されなかった。当局ではウナギが見つかった土地の所有者らに、農薬の基準値を守るなど呼びかけを行っていた。
“Marlborough District Council investigating dead eels found in Waikawa waterway” (stuff, NZ)
http://www.stuff.co.nz/environment/83383978/Marlborough-District-Council-investigating-dead-eels-found-in-Waikawa-waterway

★インドで新種のウツボ見つかる
インド動物調査局の研究者Mohapatra研究員らが先週初め、インドのベンガル湾北部70km沖の水深35mの場所で新種のウツボを発見したとを科学雑誌Zootaxaで発表していたことが分かった。同地域では昨年にもGymnothorax mishrai が新種記載されている。
“New species of eel found in Bay of Bengal” (The Hindu, IN)
http://www.thehindu.com/sci-tech/science/new-species-of-eel-found-in-bay-of-bengal/article9012451.ece

「日刊 世界のウナギニュース」は 平日の(およそ)毎日、研究室スタッフの山岡が世界のウナギニュースを厳選し、海外のものは抄訳をつけてお届けします。

ウナギ密漁反対キャンペーン実施中 スウェーデン(日刊 世界のウナギニュース2016年8月19日)

★ウナギ密漁反対キャンペーン実施中 スウェーデン
スウェーデンでは密漁対策として監視などが行われているが、密漁者が逮捕された事がないなど、効果があまり見られていない。そのためMiljösamverkan Sverige(スウェーデン環境パートナーシップ、山岡訳)は”Fråga alltid om ålens ursprung”(ウナギの原産地常時確認、山岡訳)キャンペーンが行われている。このキャンペーンでは、LinkedInやFacebookを通して関係業者、レストラン経営者、消費者にウナギ漁に関する注意を促すほか、購入したウナギが合法的に捕獲されたものかどうかの証明も依頼できる。
“Ny kampanj ska stävja tjuvfiske” (Kristianstadsbladet, SE)
http://www.kristianstadsbladet.se/kristianstad/ny-kampanj-ska-stavja-tjuvfiske/
Miljösamverkan Sverige:
http://www.miljosamverkansverige.se/sv/pages/default.aspx

★スウェーデンで10万匹放流
12日、スウェーデンの北海に面したKullabergでウナギ10万匹が放流された。ウナギはイギリスで採捕され、検疫と飼育を90日間受けたもの。この地域の付近の自治体では、放流場所に適した場所の評価を調査しているという。
“100 000 ålar släpptes ut i det fria” (HD, SE)
http://www.hd.se/2016-08-12/100-000-alar-slapptes-ut-i-det-fria

★デンマークで1万匹放流
デンマーク南部Fyn島のFaaborgでウナギの稚魚1万匹が放流された。遊漁団体が出資した。ウナギは1月にポルトガルから輸送され、3.5gになるまで育てられた。同島では先週にも37万5千匹が放流されている。
“Fiskerne satte 10.000 småål ud ved Faaborg” (fyens.dk, DK)
http://www.fyens.dk/faaborg-midtfyn/Fiskerne-satte-10000-smaaaal-ud-ved-Faaborg/artikel/3047643

★アメリカウナギのシンポ議事録公表
今年1月にアメリカで開かれていたアメリカウナギに関するシンポジウムの第2部の議事録が11日、公表された。この部ではアメリカウナギの社会経済学的、文化的重要性について議論されたようだ。
“American Eel: A Symposium. Session Two” (Ocean and Coasltal Law Journal, US)
http://digitalcommons.mainelaw.maine.edu/oclj/vol21/iss1/5/
http://digitalcommons.mainelaw.maine.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1325&context=oclj

★ニュージーランド 漁業者間で危機感に差
ニュージ―ランドの最近の調査によると、水質悪化と過剰な漁獲によりshortfin、longfin eelとシラス(5種の異なる魚種の稚魚の総称)の資源が2050年までになくなると予想されている。危機を認識している漁業者もいる一方で、ウナギは沢山いる、また、シラスの中の1種しか漁獲量の変化はないと捉える漁業者もいるようだ。ニュージーランドのTV番組Seven Sharpによると、1990年には在来魚種40種のうち20%が絶滅の危機に瀕していたが、現在は75%にのぼっている。
“Warning that NZ’s precious whitebait and long-fin eel stocks could be gone by 2050” (TVNZ, NZ)
https://www.tvnz.co.nz/one-news/new-zealand/warning-nzs-precious-whitebait-and-long-fin-eel-stocks-could-gone-2050

「日刊 世界のウナギニュース」は 平日の(およそ)毎日、研究室スタッフの山岡が世界のウナギニュースを厳選し、海外のものは抄訳をつけてお届けします。

デンマークでウナギ9,000匹放流(日刊 世界のウナギニュース2016年8月10日)

★デンマークでウナギ9,000匹放流
デンマーク南部のSønderborgで9日、9,000匹のウナギが放流された。放流されたウナギは今年1月にRoyal Danish Fish社がフランスから輸入し、タラの卵や乾燥餌を与えて飼育したもの。遊漁券の代金(一人年間300DKK、約4500円)が基金となっている。
“Se billederne: Der røg ål for 36.000 kroner over bord” (Jydske Vestkysten, DK)
http://www.jv.dk/artikel/2357711:SOenderborg–Se-billederne–Der-rOeg-aal-for-36-000-kroner-over-bord

★未だ続く産地偽装
中国原産のウナギを鹿児島産として販売した業者に対し農林水産省近畿農政局が9日、再発防止策の実施を求めた。偽装は同局の立ち入り検査により判明した。
“スーパー2社に是正指示…原産国非表示で農水省近畿農政局” (産経WEST、日本)
http://www.sankei.com/west/news/160809/wst1608090064-n1.html

「日刊 世界のウナギニュース」は 平日の(およそ)毎日、研究室スタッフの山岡が世界のウナギニュースを厳選し、海外のものは抄訳をつけてお届けします。

 

スペイン 養鰻生産量微増(日刊 世界のウナギニュース2016年8月9日)

★スペイン 養鰻生産量微増
スペインの海産魚類の2015年の養殖量が48,065tだった事が海面養殖業組合(Business Association of Marine Aquaculture Producers, APROMAR, 山岡訳)の最新の報告書により判明した。このうち、ヨーロピアンシーバスが飛躍的に増え、前年比22.7%増の21,324tだった。ヨーロッパウナギの養鰻による生産量は380tで、前年比3.8%増だったという。
“Farmed sea bass production records strong growth” (FiS, ES)
http://www.fis.com/fis/worldnews/worldnews.asp?monthyear=&day=8&id=86189&l=e&special=&ndb=1%20target=

★貧困対策にカニ、タウナギ養殖 バングラデシュ
バングラデシュ南東部KhulnaのDumuria upazilaは、国内のカニやタウナギ養殖事業地として選定されており、貧困層の女性の経済的独立を目的に実習を行っている。この制度を利用し、同地域のベスト女性企業家に選ばれたある女性は、今年の4月からカニ養殖を初め、47,000Tk(新卒大学生の給与約4か月分)の利益を得たという。稚ガニは付近の食品市場で購入するか天然のものを捕獲し、10-15日間成長させてからまた同じ市場で売られる。Khulna漁業局によると、生きたカニは輸出品としても価値があると見込まれており、限られた土地資源から早く高収入を得られるのに適していると語った。
“Crab cultivation changes lot of woman entrepreneur in Khulna” (The Financial Express, BD)
http://www.thefinancialexpress-bd.com/2016/08/08/41332/Crab-cultivation-changes-lot-of-woman-entrepreneur-in-Khulna
物価の情報:http://g-biz.asia/archives/2323

★和歌山県で伝統漁体験
和歌山県古座川町で6日、町内の子供を対象にしたウナギの伝統漁法(ウナギ石漁)体験イベントが行われた。このプログラムは、学校法人玉川学園による、グループ体験活動を通して課題解決能力を養う教育手法が参考にされており、来年度から本格的に行われるという。
“古座川で伝統のウナギ石漁” (紀伊民報、日本)
http://www.agara.co.jp/news/daily/?i=319082&p=more

「日刊 世界のウナギニュース」は 平日の(およそ)毎日、研究室スタッフの山岡が世界のウナギニュースを厳選し、海外のものは抄訳をつけてお届けします。

中国珠海市から活鰻4t日本へ(日刊 世界のウナギニュース2016年8月8日)

★中国珠海市から活鰻4t日本へ
先月27日、中国の珠海市(マカオに隣接する経済特区)の出入国調査検疫局(Entry-Exit Inspection & Quarantine Bureau、山岡訳)が、4tの活鰻(10万8千$相当)が日本へ向けて輸出されたと発表した。養鰻業者のZhuhai Xinyuan Aquaculture社ではこれまで蒲焼会社や消費者への直接販売など国内向けの供給を行っていたが、輸出収入が国内よりも40%高い事から、今年、100tの活鰻を追加で送る見込みだ。
“Zhuhai eels enter Japanese market” (珠海市、中国)
http://www.cityofzhuhai.com/2016-08/04/c_54953.htm

★ヤツメウナギ駆除か飲料用水か ゆれるChamplain湖
米バーモント州が5日、ヤツメウナギ駆除剤TFMを使用するために現在の飲料用水の基準を現在の35ppbから3ppbへ下げられるよう交渉していると発表した。1970年代の基準の正確さが問題となっている。散布が予定されているのはバーモント州、ニューヨーク州のChamplain湖の流域3か所だが、うち1か所(ShelburneのLaPlatte川)は適正な水質安全基準が決まるまで今後2年間は散布しない可能性もある。結果はバーモント州、ニューヨーク州、連邦政府により来週決定される。
“Drinking water worries may slow eel fight” (Rutland Herald, US)
http://www.rutlandherald.com/article/20160806/THISJUSTIN/160809754

「日刊 世界のウナギニュース」は 平日の(およそ)毎日、研究室スタッフの山岡が世界のウナギニュースを厳選し、海外のものは抄訳をつけてお届けします。

白鳳丸の調査 ニュージーランド、タヒチでも報道(日刊 世界のウナギニュース2016年8月4日)

★白鳳丸の調査 ニュージーランド、タヒチでも報道
白鳳丸の南太平洋におけるウナギの生態調査がニュージーランド、タヒチでも紹介されている。4日に仏領ニューカレドニアNouméaを発つ白鳳丸に、太平洋共同体漁業水産海洋生態系部(Pacific Community’s Fisheries, Aquaculture and Marine Ecosystems Division、山岡訳)のPickering教授とVourey氏が乗船する。Pickering教授は、南太平洋は最後の未知なる調査場所であり、ウナギ属魚類の保全や管理を考えていく上で必要な情報を集めたいと語った。Vourey氏はマグロの餌生物についても調査を行うという。白鳳丸は8/17に米領サモアPago Pagoへ、9/12には仏領ポリネシアのPapeeteへ向かう。
“Freshwater eels focus for Pacific marine researchers” (RNZ, NZ)
http://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/310111/freshwater-eels-focus-for-pacific-marine-researchers
“Une mission scientifique d’observation des anguilles d’eau douce dans le Pacifique sud” (Tahiti Infos, TA)
http://www.tahiti-infos.com/Une-mission-scientifique-d-observation-des-anguilles-d-eau-douce-dans-le-Pacifique-sud_a151554.html

★イギリス 魚類大量死(8/3分続報)
1日に起きた北アイルランドClaudyでの魚類大量死の原因は、サイロの排水である可能性が示唆された。また、大量死はClaudyだけでなく、同地域よりも離れた下流域のCampsieでも起きていた事が判明した。当局では異なる汚染が別々に起こったのか、汚染源は1つなのかを調査している。北アイルランド環境局(Northern Ireland Environment Agency , NIEA, 山岡訳)では飲料用水としては問題ないとしているが、漁業への影響が大きく、East Londonderr地区のCampbell代議士は環境省に回答を求めている。Sinn Féin党のArchibald氏は、今回のような深刻な河川汚染に対して法が許す限りの厳しい罰則を設けるべきだと話した。
“River Faughan fish kill: Silage spill suspected” (BBC, UK)
http://www.bbc.com/news/uk-northern-ireland-36950585

「日刊 世界のウナギニュース」は 平日の(およそ)毎日、研究室スタッフの山岡が世界のウナギニュースを厳選し、海外のものは抄訳をつけてお届けします。

魚1000匹以上が謎の大量死 北アイルランド(日刊 世界のウナギニュース2016年8月3日)

★魚1000匹以上が謎の大量死 北アイルランド
北アイルランド北部クラウディーのLondonderry川で1日、5-6kmにわたってウナギやサケなどの魚類1000匹以上が死んでいるのが見つかった。現在原因調査が進められている。調査員によるとここまで多くの魚が死亡したのは長年なかったという。
“Major fish kill in polluted salmon river in Claudy” (BBC, UK)
http://www.bbc.com/news/uk-northern-ireland-36958521

★ウナギ漁解禁 フランス
フランスのGironde県、Nouvelle Aquitaine地域圏は2日、同地域の沿岸域などで禁漁だったウナギやアゴーン漁が解禁された。(ただし、シラスウナギは除く)ウナギとアゴーンはPCB汚染されているとされていたが、食品環境労働衛生安全庁(l’Agence nationale de sécurité sanitaire de l’alimentation, de l’environnement et du travail ,ANSES)の検査により汚染されていない事が判明した。県はこれを機にANSESによる魚の消費呼びかけを期待している。*筆者は生物濃縮等の理由から、うなぎの消費はすべきでないとしている。
“Nouvelle Aquitaine : la pêche à l’anguille et à l’alose feinte à nouveau autorisée” (Sud Ouest,FR)
http://www.sudouest.fr/2016/08/02/nouvelle-aquitaine-la-peche-a-l-anguille-et-a-l-alose-feinte-a-nouveau-autorisee-2454938-4738.php

★アルジェリア政府 進まぬ河川汚染対策
アルジェリア北部Bejaja県のL’oued Soummam川では工場からの未処理廃水が原因で化学汚染が進み、ウナギやバーベルなどが死に絶えつつある。対策を行っている工場もあるが政府は解決に向けた姿勢を見せておらず、2014年に初めて汚染が確認されて以降改善が見られていないという。
“Catastrophe écologique de l’oued Soummam (Bejaia) : où sont les responsables ?” (Le Matin d’Algérie, AR)
http://www.lematindz.net/news/21411-catastrophe-ecologique-de-loued-soummam-bejaia-ou-sont-les-responsables.html

「日刊 世界のウナギニュース」は 平日の(およそ)毎日、研究室スタッフの山岡が世界のウナギニュースを厳選し、海外のものは抄訳をつけてお届けします。

ウナギの研究もはかどる? 環境DNA分析へ期待(日刊 世界のウナギニュース2016年8月2日)

★ウナギの研究もはかどる? 環境DNA分析へ期待
水中に含まれる生物の分泌物などからその生物のDNAを分析する環境DNA分析という手法が生物学者らの注目を浴びている。この手法ではサンプル採集が水だけで済み、自然環境から直接DNAが入手できるため、現在の方法よりも早く、簡単に、安く調査が行えると考えられている。ニューヨーク市立大学ヨーク校では現在、研究対象のアメリカウナギの河川の有無確認にうなぎモップ(eel mop、山岡訳。シラスウナギの隠れ家となるような人工物。)を使用しているが、環境DNAを用いれば、ウナギから分泌される粘液で有無が判別できる可能性があるとみている。
“Fishing for DNA” (Science Line, US)
http://scienceline.org/2016/08/fishing-for-dna/
うなぎモップ:http://www.dec.ny.gov/docs/remediation_hudson_pdf/eelmop.pdf

★無駄なダムは撤去を スウェーデンの環境保護団体ら訴え
スウェーデンの環境保護団体とスポーツフィッシング団体がウナギや魚が急減していると政府に対して警鐘を鳴らしている。同国はヨーロッパの中でも水量が多い国の一つであり、国内の殆どの河川にダムや発電所が設置されている。魚道も2000か所に付設されているが、そのうちの2%しか機能していないという。また少なくとも1000基は国内全体の発電量の0.25%にしか相当していないため、撤去しても問題はないはずだと主張している。
“Ål och lax försvinner i rasande fart” (Din åsikt, SE)
http://www.blt.se/din-asikt/al-och-lax-forsvinner-i-rasande-fart/

★密漁、デンマークでも
先月31日、デンマーク南部のStrynøで違法のウナギ用の網が23枚押収された。デンマークでは5/10~7/31まで禁漁期となっており、容疑者3人には2500~5000DKK(約4~7万6千円)の罰金と6~12か月の禁漁が課せられる。
“Fiskerikontrol fanger 23 ulovlige åleruser” (fyens.dk, DK)
http://www.fyens.dk/langeland/Fiskerikontrol-fanger-23-ulovlige-aaleruser/artikel/3041322

「日刊 世界のウナギニュース」は 平日の(およそ)毎日、研究室スタッフの山岡が世界のウナギニュースを厳選し、海外のものは抄訳をつけてお届けします。

日米間でのイメージの違い ウナギは気持ち悪い!?(日刊 世界のウナギニュース2016年8月1日)

★日米間でのイメージの違い ウナギは気持ち悪い!?
米アーカンソー州の河川ではウナギが時々漁獲されるが、商業的な価値は低い。また、蛇のような形、頭に対する目の小ささ、尖って突き出ている下顎、粘液に覆われているナメクジのような色をしている体であるという事から、人々からあまり好まれていない(釣ってとどめを刺す時に銃が用いられる事がある)。しかし、謎に満ちた生態や食材として価値ある生物である。
“The unusual, mysterious American eel” (River Valley & Ozark, US)
http://www.arkansasonline.com/news/2016/jul/31/unusual-mysterious-american-eel/?f=rivervalley

★Wainui川 山積する課題
ニュージ―ランド北島北部のWainui川で昨年3月、ウナギが多く成育する場所に32時間にわたり450㎥の未処理排水が流れ、ギズボーン地方の当局と契約者に対し5万$の罰金が科された。現在、ギズボーン地方評議会(Gisborne District Council、山岡訳)ではこの罰金を今後どの対策に用いるべきかが議論されている。同川は同地方の中でも最も汚染が進んでいる河川の1つであるが、浜辺が比較的汚れていないため、汚染に対する認識はあまりされていないという。これを受け、汚染に関する基礎的な情報を盛り込んだ冊子作成などが提案されている。しかし、Wainui川には他にも、犬の糞や刈り取られた草による汚染、地質に硫黄が多く含まれている事による悪臭、水量不足など解決すべき問題が山積している。
“No silver bullet to improving water quality” (The Gisborne Herald, NZ)
http://gisborneherald.co.nz/localnews/2405267-135/no-silver-bullet-to-improving-water

「日刊 世界のウナギニュース」は 平日の(およそ)毎日、研究室スタッフの山岡が世界のウナギニュースを厳選し、海外のものは抄訳をつけてお届けします。