イベント」カテゴリーアーカイブ

第6回旭川うなぎ探検隊募集開始します

今年で第6回を迎える市民参加型調査、旭川うなぎ探検隊の募集を開始します。

カゴ罠を仕掛けた後は,たも網を使って魚を捕る。たも網を使った採集には熟練の技が必要なので,学生スタッフの教える力が必要とされる。

学生ボランティアの指導のもと、魚類の採集調査を行います

日時:2017年8月6日(二の丑の日) 9:30〜12:00
場所:明星堰
主催:旭川うなぎ探検隊実行委員会
定員:35名(全体の定員は45名、うち10名は日本自然保護協会の募集枠)
参加資格:3歳以上、小学生以下は保護者同伴
雨天決行、ただし、増水の危険がある場合は中止します。その他注意事項は、添付のチラシを確認してください。

応募は往復葉書(毎度アナログですみません)、宛先は本年より岡山河川事務所となりますので、ご注意ください。
応募方法は、添付のチラシをご覧ください。
応募の締め切りは7月22日必着ですが、先着順で定員になり次第締め切ります。参加をご希望の方は、お早めの応募をお願いします。

現場の明星堰は百間川の改修工事で大きく環境が変わっています。
このような時こそ、継続的な市民参加型モニタリングの重要性が発揮されます。皆様の応募をお待ちしております。

旭川うなぎ探検隊2017チラシ

採集した魚でミニ水族館が作られる。短時間で21種類もの魚を捕獲することができる,豊かな水域であることが分かる。

採集した魚を展示したミニ水族館

水産認証制度に関するシンポジウムを行います

水産資源の持続的利用を目指した認証制度が,日本でも大きく取り上げられつつあります。例えば今年行われるリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックでは,国際的な認証を受けた水産物を利用するよう調達方針が定められています。米国のマクドナルドのフィレオフィッシュは,同じ認証を受けた魚を使用しています(日本は違います)。

現在のところ「国際的な認証制度」とは,実質的にはMSC(海洋管理協議会)とASC(水産養殖協議会)を指しています。これらの認証制度は,資源が持続的に利用されているのか,という問題以外にも,児童労働や不当労働等が行われていないか,当該漁業や養殖業が周囲の環境に影響を与えていないか等,認証にあたって多岐に渡る項目を審査します。

世界の水産物の1割以上がこれらの認証を受けているとも言われますが,2016年2月現在において,日本の漁業・養殖業でMSC認証を受けているのはわずかに京都府機船底曳網漁業連合会のアカガレイ漁と,北海道漁業協同組合連合会のホタテガイ漁のみであり,ASC認証を受けている養殖業は一つもありません。

どのようにしたら,日本は水産資源を持続的に利用していくことができるのでしょうか。先進国を中心に広まりを見せる水産物の認証制度について学ぶことを通じて,水産資源の未来について,ともに考えましょう。

主催:水産学若手の会・日本水産学会関東支部会・日本水産学会シンポジウム企画委員会
日時:2016年3月30日(水) 午後 1:00-5:00 (12:30開場)
場所:東京海洋大学品川キャンパス(品川駅港南口から徒歩10分)(まだ部屋が決まっていませんが,当日分かりやすいように掲示します)
参加資格:なし(水産学会員資格は必要ありません。一般の方の来場は大歓迎です)
参加費:無料(事前申し込み不要)
企画責任者:海部健三(中央大学)・小川健(専修大学)
問合せ先:中央大学法学部海部研究室(ブログの「問い合わせ」を利用して下さい)

講演 ー水産物認証制度とはー
認証制度が必要とする基礎的要件 −国際的に認知されるエコラベルの共通点− 大元鈴子(総合地球環境研究所)
2.海洋管理協議会(MSC)と日本の漁業 鈴木充(MSC日本事務局)
3.養殖管理協議会(ASC)と日本の養殖業 前川聡(WWFジャパン)
4.日本の水産業と認証制度の現状 勝川俊雄(東京海洋大学)

パネルディスカッション ー日本の認証制度の課題ー
秋山 貴彦(パルシステム生活協同組合連合会)
岩尾 敦志(京都府農林水産技術センター 海洋センター)
村上春二(Ocean Outcomes)
山本 泰幸(イオントップバリュ株式会社)
若松宏樹(中央水産研究所)

総合討論 ー水産資源の持続的利用と水産物認証制度ー

H28水産学会認証シンポチラシ確定版1

東京湾に関するシンポジウムでお話しします

2015年12月13日の日曜日、日本自然保護協会などの共催で開催されるシンポジウム「生き物がよみがえってきた江戸前の海」でお話しさせていただきます。
「ウナギから見た東京」というテーマで、東京湾だけでなく多摩川などの河川も含めて、ウナギにとって東京はどのような場所なのか、考えてみようと思います。

13:30より中央区立環境情報センターで行われます。年末の忙しい時期ではありますが、お時間があれば是非お越し下さい。

詳細はこちら

2015年東アジア鰻資源協議会(上海)レポート

2015年8月7-8日に上海で開催された,東アジア鰻資源協議会(EASEC)の2015年会合に参加してきました。以下,簡単にレポートします。

東アジア鰻資源協議会(East Asia Eel Resource Consortium, EASEC)は,1998年に日中台韓の鰻業界(養殖業,餌料生産業,中間流通業,蒲焼業)と研究者らによって立ち上げられた,研究者と業界の情報交換会です。
近年の資源の減少にともない,東アジアの研究者間での情報共有を進める機能が強くなってきています。昨年からは,フィリピンやインドネシアも参加するようになっています。

会場である上海パラダイスホテルの前で集合写真。 開会式直後に集合写真撮影。中国側の偉い方々はその後いなくなります。

会場である上海パラダイスホテルの前で集合写真。
開会式直後に集合写真撮影。中国側の偉い方々はその後いなくなります。しかし,写真のためだけでもこの場に重要人物が来るということは,それだけ重要視されている,と見ることも可能かも知れないですね。

2015年の東アジア鰻資源協議会は,中国水産科学研究院東海水産研究所がホストとなって行われました。今回の参加国はホストの中国のほか,台湾,フィリピン,日本の4カ国。全体の概観から言えば,非常に上手く運営されていました。以下,会合の中で出てきた議論をいくらか紹介します。

■2015年東アジア鰻資源協議会での議論

<中国>
資源の保全と持続的利用を強く意識した発表が多く,驚かされました。最も面白かったのは,黄河河口域におけるシラスウナギ漁の混獲(目的外の生物の漁獲)を4年にわたって調べた研究です。シラスウナギ漁獲用の定置網に大量のエツが混獲され,死亡しているということです。エツのような経済価値のある水産物だけでなく,様々な生物の混獲に目を向ける姿勢,混獲防止のためにエコ・フレンドリーネットの開発を行おうとする姿勢など,資源や環境に対して真摯に考える姿勢を感じさせる内容でした。
この他,シラスウナギの漁期規制や量的規制など,日本と同じ程度の漁業管理が行われているように見受けられました。しかし今回は,具体的な内容や運用上の問題点について踏み込んだ話しは聞けなかったので,今後確かめていく必要があります。

<台湾>
国立台湾大学の韓玉山副教授は,日中台韓によるシラスウナギの池入れ量制限について,現状の上限は多すぎることを指摘し,近年の平均値40トンを用いるべきだろうと述べました。また,台湾では全ての州にひとつ以上のウナギ保護河川が設定され,ウナギの漁獲が禁止されていることを紹介し,日本や中国などニホンウナギの分布域である他国でも,産卵に寄与する可能性の高い,大きく育った天然ウナギ(特に銀ウナギ)の保護を推進すべきであると主張しました。さらに,台湾で推進されつつある生息域改善の努力を紹介してくれました。
ニホンウナギの河川生活期の研究では第一人者とも言える韓さんのお話は,いずれも科学的データに基づいて保全と持続的利用の議論を進めることを重要視しており,現在の日本の議論にも欠けている部分を厳しく指摘してもらったと感じました。また,韓国の河川で進められている自然再生では,人工のウェットランド(湿地)を河川周辺に配置したり,河川横断構造物を底生生物にも登りやすい形状に直したりと,先進的な工夫がなされており,日本が見習う部分も多いようです。

<韓国>
今回残念ながら,韓国からは参加者がありませんでした。

<フィリピン>
フィリピンにはニホンウナギはほとんど生息していませんが,オオウナギやビカーラ種などの熱帯種が多く存在します。ニホンウナギやヨーロッパウナギの減少に伴い,東アジアの需要はこれら熱帯種にも大きな影響を与えています。フィリピン政府は,2012年よりシラスウナギを含む15cm未満のウナギ全種の輸出を禁じました。フィリピンは中央ルゾン大学のYambot教授によると,シラスウナギの値段が余りにも高騰したため,あらゆる人間がシラスウナギの捕獲に熱中し,子どもまでもが学校に通わずにシラスウナギ捕獲に動員されるようになったそうです。このような社会的混乱を避けるために,政府はシラスウナギの禁輸に踏み切ったと言うことですが,国内のウナギ養殖業を奨励していることからも,あわせて国内産業の発展を狙った措置であることは明らかでしょう。ただし,どうせ消費されるのであれば,国内経済を潤う形の方が望ましいと考え,私はフィリピン政府の決断を指示します。

<日本>
日本からは日本養鰻漁業協同組合連合会の白石会長,東京医科大の篠田博士と,私が発表しました。白石会長からは,日中台韓の池入れ制限が初めてなされた今シーズン,結局実際の池入れ量(18.3トン)は上限の21.6トンに届かなかったことが報告されました。篠田博士からは日本で行われているシラスウナギモニタリング「鰻川計画」の紹介,私は資源量を明らかにするための研究の重要性と,そのために東アジア諸国で情報を共有する必要があることを説明しました。
その後中国,台湾の参加者と話し合い,韓国も含めた四カ国でニホンウナギの資源解析を進めることで合意しました。明日からでも詳細な計画を立てるための準備を始めます。

<その他>
総合討論では,放流の効果や戦略が話題になりました。しかし日本と同様,参加国のいずれも放流による資源増殖効果の検証は進んでいません。放流を漫然と続けるのではなく,資源を回復させる戦略の一部として考えていく必要があるでしょう。
CITESに関しても様々な話題が出ましたが,会長の曾萬年教授からは,CITESで国際取引が禁止されれば,地域の産業にとって喜ばしいのではないかという話しも出ました。確かに,例えば相対的に購買力の低い台湾の養殖業者から見た場合,シラスウナギの輸出が止まれば(現在も禁輸ですが,実際には大量に輸出されている),日本の養殖業者との競争がなくなり,これまでよりも安くシラスウナギを入手できるようになるでしょう。多様な立場の視点を忘れてはならないと思わせる一幕でした。
フィリピンは調査費用の不足が深刻なようで,援助を求めていました。一次産品の国際取引に関して,多くの場合経済的に優位にある輸入国や仲介企業が,当該産品の資源管理に一定の責任を持つ制度の構築が必要だと感じさせられました。

今回の東アジア鰻資源協議会,けして東アジアの専門家が一致団結して保全と持続的利用に向かって邁進しているというわけでもありませんが,数年前に比べると圧倒的に保全と持続的利用に意識が向いており,隔世の感がします。この動きを止まらせることなく,より強く進めることが重要だと感じました。

市民参加型調査「第4回旭川うなぎ探検隊」を開催しました

2015年8月1日(土),晴天の中で「第4回旭川うなぎ探検隊」が開催されました。
この調査は2012年より岡山県岡山市旭川の明星堰で行われている市民参加型魚類相調査で,今回は旭川うなぎ探検隊実行委員会の主催により,旭川南部漁業協同組合連合会,岡山河川事務所,岡山県内水面漁業協同組合連合会,岡山大学理学部,岡山の自然を守る会,岡山県自然保護センター,岡山理科大学,水産総合研究センター増養殖研究所,中央大学法学部海部研究室(五十音順)が協力して運営しました。

旭川うなぎ探検隊の目的は大きく二つ。
(1)常時から継続的な魚類相調査を行うこと
(2)調査を通じて川の自然に親しむこと

今回は岡山大学において,子どもたちの安全管理と魚の取り方指導をしてくれる学生スタッフの事前・事後の学習を行った。岡山大学理学部の「生物学特論」の講義のとして,参加してくれる学生に対し市民参加型調査の意義,河川生魚類調査の基礎,魚類の同定,河川における安全管理などについて事前に講義を行ったのち,当日のイベントに挑んでもらいました。また,イベント後には,数日間の経験について考える振り返りの時間を持つことができました。
旭川うなぎ探検隊では,参加した子どもたちと学生スタッフが少人数のチームを組み,綿密にコミュニケーションをとりながら安全管理と捕獲の指導を行うところにその特徴があります。学生スタッフは運営側から教わり,子どもたちに教える必要があるため,このイベントの中でも最も学びの機会の多い立場ではないかと考えていました。今回からは,ある程度その学びを促進するシステムができ,嬉しい限りです。
安全管理や魚の取り方指導についても,やはり事前指導を行うと効果が違います。来年も可能であれば,「生物学特論」を行いたいところです。

生まれて初めて見にする検索図鑑を使って、捕った魚の同定をする岡山大学理学部の学生さんたち。

生まれて初めて見にする検索図鑑を使って、捕った魚の同定をする岡山大学理学部の学生さんたち。

うなぎ探検隊では、安全管理と魚とりの指導のため、子どもとボランティアの学生数人でチームを作り、行動します。2015年の第4回では、およそ子ども4人を3名の大学生スタッフが担当する、7人のチームが10チーム編成されました。 各チームには始めにカゴ罠が配給され、自分たちで設置します。あとで引き上げると、中にはたくさんの魚が、、、入っている場合も。

うなぎ探検隊では、安全管理と魚とりの指導のため、子どもとボランティアの学生数人でチームを作り、行動します。2015年の第4回では、およそ子ども4人を3名の大学生スタッフが担当する、7人のチームが10チーム編成されました。
各チームには始めにカゴ罠が配給され、自分たちで設置します。あとで引き上げると、中にはたくさんの魚が、、、入っている場合も。

およそ子ども4人、学生スタッフ3人の7人のチームで、タモ網(手に持って使う網)を使って魚を捕ります。水面下に見える水草は魚の恰好の隠れ場。タモ網を下流側に構え、上流から隠れている魚をタモ網に追い込みます。

およそ子ども4人、学生スタッフ3人の7人のチームで、タモ網(手に持って使う網)を使って魚を捕ります。水面下に見える水草は魚の恰好の隠れ場。タモ網を下流側に構え、上流から隠れている魚をタモ網に追い込みます。

捕れた魚は大きな水槽に集め、専門家が種類を分けます。 うなぎ探検隊では、カゴ罠、タモ網、小型定置網、投網など、魚を殺傷しにくい漁法を用い、観察した後、魚は川に返します。

捕れた魚は大きな水槽に集め、専門家が種類を分けます。
うなぎ探検隊では、カゴ罠、タモ網、小型定置網、投網など、魚を殺傷しにくい漁法を用い、観察した後、魚は川に返します。

捕れた魚の説明をする、中央大学専任研究員の脇谷さん(緑のシャツ)。この水域には、ニホンウナギやアユ、ハゼの仲間などたくさんの回遊性魚類(海と川を行き来する魚)が生息しています。うなぎ探検隊では、魚類相調査を進めるとともに、川で捕った魚の中に回遊魚が多く含まれていることを確認し、海と川のつながりの大切さを学ぶことを、重要な目標のひとつと考えています。

捕れた魚の説明をする、中央大学専任研究員の脇谷さん(緑のシャツ)。この水域には、ニホンウナギやアユ、ハゼの仲間などたくさんの回遊性魚類(海と川を行き来する魚)が生息しています。うなぎ探検隊では、魚類相調査を進めるとともに、川で捕った魚の中に回遊魚が多く含まれていることを確認し、海と川のつながりの大切さを学ぶことを、重要な目標のひとつと考えています。

川遊びには安全管理が欠かせません。うなぎ探検隊では参加者全員分の救命胴衣を準備。

川遊びには安全管理が欠かせません。うなぎ探検隊では参加者全員分の救命胴衣を準備。

炎天下で行われるうなぎ探検隊。テントを張って日陰を確保するとともに、水分補給の準備も入念に。

炎天下で行われるうなぎ探検隊。テントを張って日陰を確保するとともに、水分補給の準備も入念に。