投稿者「海部 健三」のアーカイブ

日刊 世界のウナギニュース(2016年5月2日)

★アメリカ政府が29日、アメリカウナギやニホンウナギをワシントン条約の議題として提案する事を見送った。アメリカでは環境保護団体が議題の提案を求めており、政府も検討の必要があるという見解を示していた。
“米がウナギ規制提案見送り 条約事務局議案近く公表” (日刊スポーツ、日本)

★イギリス南部Elyで行われているうなぎフェスティバルで、初日の29日、うなぎ投げ世界選手権が行われた。優勝チームはAtrium Clubの15.2mで、これまでの記録を塗り替えた。2位はWood Greenで14.8m、2年前に優勝したWhizzleは14.7mと3位に終わった。フェスティバルは2日まで。
“The Atrium Club are crowned winners of Ely City Centre Business Eel Throwing Championships 2016″ (Ely News, UK)”
“Atrium Club crowned champions whilst Whizzle slip to third during 2016 Ely Eel Throwing Competition” (Ely Standard, UK)

★イギリス南部のGloucestershireで50年ほど前から事業を行っている採捕や養鰻などを行ううなぎ業者へのインタビュー。仕事については勿論、Gloucesterでは1600年頃、シラスウナギ用の網を形見として渡している記録があるなど様々な話題について触れている。
“Big Interview: UK Glass Eels talk about Gloucestershire delicacy elvers”

「日刊 世界のウナギニュース」は 平日の(およそ)毎日、研究室スタッフの山岡が世界のウナギニュースを厳選し、海外のものは抄訳をつけてお届けします。

日刊 世界のウナギニュース(2016年4月29日)

★テレビ朝日は「ニホンウナギがワシントン条約の議論回避」という見解を示している
”絶滅危惧種・ニホンウナギ、取引規制の議論は回避へ”(テレ朝news、日本)

★アメリカの大手電力・ガス会社Exelonがアメリカシャッドなどを放流することを合衆国野生生物局と同意したニュースが他サイトでも取り上げられています。
“Exelon reaches agreement to restore fish in Susquehanna” (Yorkdispatch, 
US)
“Exelon to Help Restore American Shad, River Herring to Susquehanna 
River; Ron DeGregorio Comments” (Executive Biz, US)

★ノルウェー南部Kristiansandにある動物園の人工砂浜建設計画に関して、国が任命する知事(Fylkessman、県知事とは異なる)が懸念している。同区域ではかつてはウナギは現在通年採捕禁止となっており、この規則により計画は退けられてきた。しかし動物園園長は、ウナギは砂浜には登ってこない、また自分が泳いでいる時に見かけるので心配する必要はないと主張している。一方知事は、ウナギは厳重保護されている生物であり、そのウナギの生息地が建設により将来的に悪化するのではと話す。また、園から知事への提出書類によると、建設により堆積物中の重金属やヒ素が拡散する可能性もあるとされているが、園側は、汚染されているなら泳ぐ人は誰もいないはずなので心配ないと話している。
“Dyreparken legger sandstrandplanene på is i år” (Fædrelandsvennen, NO)

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日刊 世界のウナギニュース(2016年4月28日)

★EUが、今年9月に開催されるワシントン条約締約国会議で、日本を含めた国際取引の実態調査を行う事を決めた。今回の提案は、うなぎの最大消費国である日本などに向けて対策の重要性を訴えるものと見られている。
“ウナギの国際取引の実態調査 EUが国際会合に提案へ” (NHK NEWS WEB、日本)

以下のサイトでも報じられています。
時事通信
日本経済新聞

★ニュージーランド南島中央部にあるForsyth湖で藻類が大量発生し、生息するウナギなどの死因となっている。ティースプーン1杯程度でヒト1人が死ぬほどの毒性をもつという。この湖では水質改善のために、湖の一部を海とつなげるなどの対策を何度も行ってきたが、今夏は高温・少雨で湖があたためられ、土壌中のリンが溶出した事が大量発生につながったと考えられている。
“Canterbury lake’s toxic algae enough to kill” (Newshub., NZ)

★昨日お送りした、ウナギが自宅前に捨てられていたというニュースの犯人が特定された。犯人は16~21歳の青少年で、巡査によると、捨てた理由は何か面白い事をしたかったためだという。少年らは脅迫的・攻撃的な態度を取ったとして警告を受けた。
“Timaru eel throwers ‘thought it was funny'” (stuff.co.nz, NZ)

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日刊 世界のウナギニュース(2016年4月27日)

★3/6、大阪府の大和川で大阪福祉防犯協会による清掃活動が行われた。大和川は水質が良くない川として知られていたが、10年ほど前から徐々に改善しており、最近はウナギの稚魚も見られるという。
“有志40名が大和川の清掃に協力/大阪福祉防犯協会” (パチンコ業界誌『遊技日
本』、日本)

★昨日お送りした、アメリカの大手電力会社と合衆国魚類野生生物局との同意に関するニュースを他社も報じています。
“Agreement will save shad and herring” (Delaware Business Times, US)

★昨日お送りした、米メイン州のシラスウナギ漁が好況であるというニュースが他社でも報じられています。
“Maine’s eels, on way to becoming sushi, having stronger year” (WCSH6, US)
“Maine’s eels having stronger year” (The Journal Tribune, US)

 

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ワシントン条約CoP17に対するEUの提案の内容

2016年4月27日に公開された、ワシントン条約第17回締約国会議に対する、ウナギ属魚類に関するEUの提案について、その内容の和訳です。背景については要点のみの抄訳、推薦事項(Recommendation)と添付書類(Annex1)「締約国会議に関する決定案」は全訳です。翻訳は研究室で行いましたが、誤訳に起因する損害等に対する責任は負えませんので、ご理解ください。

Seventeenth meeting of the Conference of the Parties Johannesburg (South Africa), 24 September -5 October 2016
Species trade and conservation
CONSERVATION OF AND TRADE IN ANGUILLA SPP.

背景(抄訳)
漁獲、回遊の阻害、生息域の減少など、様々な危機に直面しているウナギ属魚類については、その生残率を越えて消費してはならない。しかしながら、ウナギ属魚類では、あるひとつの種において漁獲と流通が規制され、供給が減少すると、満たされなくなった需要は、異なる種に向かう。このためウナギ属魚類については、全種をグループとして管理するべきである。
ヨーロッパウナギはワシントン条約(以下CITES)の附属書IIに掲載され、2009年より国際取引が規制されている。CITESによってヨーロッパウナギの国際取引が規制された後、ヨーロッパウナギ以外のウナギ属魚類、特にアメリカウナギとビカーラ種に対する需要が急激に高まった。これらの需要は、かつて大量のヨーロッパウナギを養殖のために購入していたアジアの国々によるものである。東アジアのウナギの輸入は、2010年までは90%がアジア内(60%)またはヨーロッパから(30%)であったが、2011年以降その割合は大きく変化し、近年は30%がアメリカから、35%が東南アジアからの輸入となっている。
ウナギ属魚類については、非持続的な漁獲だけでなく、違法取引も大きな問題である。CITESによる解析、東アジアのウナギ養殖データ、流通業者の情報は、現在もヨーロッパウナギの違法取引が継続していることを示している。
IUCNのレッドリストでは、評価が終了した13種のウナギ属魚類のうち、ヨーロッパウナギ、ニホンウナギ、アメリカウナギ、Anguilla borneensisの4種が絶滅危惧(Threatened)、Anguilla bengalensisAnguilla bicolor(ビカーラ種)、Anguilla celebesensisAnguilla luzonensisの4種が準絶滅危惧にランクされている。
ウナギ属魚類の保全と管理に関する最大の問題のひとつは、情報不足にある。ヨーロッパウナギについても、現在は輸出許可を発行するに足りるデータは存在しない。ウナギ属魚類の全ての種について、生物学的側面、個体群動態、利用と流通について、入手可能な情報の収集と、新たなデータの取得が必要である。

推薦事項(全訳)
個体数と利用(exploitation)に関する情報とデータをさらに入手し、Anguilla種の持続可能な取引の勧告をすすめていくために、締約国会議では本文書に掲載されている情報を考慮に入れ、Annex1に付記された決定案の承認を推薦する。

Annex1 締約国会議に関する決定案(全訳)

事務局に対して
17 x1
事務局は、外部基金を条件として以下を行う:
a) 独立した組織と契約し、ヨーロッパウナギ(Anguilla anguilla)の附属書IIへの記載とその有効性から学んだ事や問題点に関する情報を収集し、調査する。これは特に、無害証明書の発行、施行、問題点や違法取引の明確化を含む。調査は、特にICES/GFCM/IFAAC Working Group Eelによる見解やデータを考慮に入れて行うものとする。
b) 契約した独立組織が、CITESに記載されていないAnguilla種に関する調査を行う。
i) 2009年にヨーロッパウナギが附属書IIに記載された後の流通レベルと、流通パターンにおける変化についてまとめる。
ii) 各種の生態、個体群状態、利用と流通に関して入手できる情報を集め、最新のデータとIUCNウナギ専門家グループによるレッドリスト評価に基づいた情報やデータとの相違が無いかを確認する。
iii) i)~iii)により確認された相違や問題に基づいた実践的ワークショップでの主題を提示する。
c) 第29回動物委員会(AC29)で議論ができるように上記調査の報告書を作成する。
d) 関連する、国、貿易相手国、FAO、IUCNウナギ専門家グループ、ICES/GFCM/IFAAC Working Group Eel、事業者、その他必要に応じて締約国から指名された専門家が参加・協力する実践的なワークショップを適宜開催する。
上記のワークショップでは、決定案17 x1 a、bで記載されたテーマについて議論するものとし、可能であれば色々なウナギ属の種に特定の問題に焦点を当てる。例えば、
i. ヨーロッパウナギの場合、無害証明書発行の実現とガイダンスや、同定の問題を含めた附属書IIの掲載実行。
ii. 他種の場合、国際取引がウナギの様々な成長段階に及ぼす影響について認識を深める方法、その種の確実な持続可能な取引のための施策の考案。
e)第30回動物委員会(AC30)で話し合いができるようにワークショップの報告書を作成する。

Anguilla種の取引を行っている締約国に対して
17 .x2
Anguilla種の取引に関わっている締約国は、事務局とFAOと協力し、以下の行動を取るよう奨励する。
a) 決定案17 .x1、2完遂のために必要な特定の情報を事務局やその業務を請け負う独立組織に提供する。
b) 実践的ワークショップに適宜参加し、専門知識や主題に関する知識を共有する(例:決定案17 .x1 dで例示されたもの)

動物委員会に対して
17 .x3
動物委員会は以下の行動を取る。
a) 第29、30回会議で、決定案17 .x1によって作成された報告書、決定案17 .x2に準じるヨーロッパウナギの生息する国により提出された情報、その他Anguilla種の保護や流通に関する情報について考察する。
b) Anguilla種の持続可能な取引を確実なものにするために、CoP18の締約国に対して推奨事項を提案する。

常設委員会に対して
17 .x4
常設委員会は、第69、70回会議でヨーロッパウナギの違法取引に関する情報について検討し、適宜推薦事項を承認する。

ワシントン条約CoP17に対するEUの提案をどう解釈するべきか

2016年4月27日、EUは今年9月に開催されるワシントン条約第17回締約国会議(CoP17)に対し、ニホンウナギを含むウナギ属魚類全種の流通の現状や個体群動態の調査を行うことを提案しました。(なお、提案の内容、原文については、それぞれの記事をご覧下さい。作成でき次第、順次アップしていきます。、ワシントン条約の役割や、ニホンウナギが掲載された場合の影響等については、ここをご覧下さい。)

それでは、この提案はどのような意味を持っているでしょうか。

(1)まずは調査、次は規制
これが最も重要なメッセージと考えられます。EUは今回、すでに附属書IIに掲載されているヨーロッパウナギをのぞく、15種のウナギ属魚類を附属書に追加する提案は行いませんでした。提案されているのは、あくまで調査です。しかし、調査が提案されたことは、EUがウナギ属魚類の消費や流通の状況を現状のままで良いと考えてはいない、ということを示しています。調査の結果、やはり附属書に掲載し国際取引を規制する必要があると判断された場合は、2019年に開催される第18回締約国会議(CoP18)において、ウナギ属魚類全種の附属書への掲載が提案されることになるでしょう。

(2)分布域外の種であっても提案する
今回EUが発表した文書が強調していた点は、ウナギ流通がグローバルであることです。需要の中心は日本を含む東アジアにありますが、その強力な需要は世界中のウナギ属魚類に影響を及ぼします。このため、特定の種を取引の規制によって保護すると、満たされなくなった需要は別の種に向かいます。取引規制によるヨーロッパウナギの供給減が、アメリカウナギとビカーラ種の消費増大を招いたことが、例として挙げられています。このためEUは、全てのウナギ属魚類をまとめて管理すべきである、と主張しています。ワシントン条約における附属書掲載の変更提案は、当該種の分布域内の国がおもに行ってきました。しかし、分布域外の種であっても、包括的に管理すべき種のグループとして附属書への追加を提案することが、EUの主張によって正当化されます。

つぎに、いまやるべきことについて考えます。
立場によっては、今回のEUの提案について「ニホンウナギのワシントン条約附属書掲載を免れた」と捉える方もいるかもしれません。しかし、現実はむしろ、「詰まれた」状況ではないでしょうか。まず、今回の調査の提案によって、ニホンウナギを含むウナギ属魚類全種が、ワシントン条約における議論の俎上に上りました。さらに、EUの提案通りに調査が行われ、その結果が条約による規制が必要であることを示すものであったとき、締約国会議で附属書掲載に反論することができるでしょうか。現状を維持すれば、2019年の締約国会議でウナギ属魚類全種が附属書に掲載される可能性は非常に高くなるでしょう。
いまやるべきことは、附属書掲載を回避するための、形だけの対策ではなく、本当に持続可能な利用を実現するための実効力のある対策です。やるべきことは多々ありますが、ワシントン条約という文脈で考えたとき、日本が優先的に取り組まなければならないのは、シラスウナギ流通の正常化でしょう。一般に流通しているウナギの半分以上が違法な漁獲や流通を経たものであるという、異常な状態を即刻改善する必要があります。

速報:EUがワシントン条約にウナギ属魚類の調査を提案

EUがニホンウナギを含むウナギ属魚類全種の調査を行うことを、今年9月に開催されるCITES(通称 ワシントン条約)の第17回締約国会議に提案しました。以下のリンクより文書を読むことができます。
後日,内容に関して続報を書きます。

提案文

日刊 世界のウナギニュース(2016年4月26日)

★明日27日の、ワシントン条約締約国会議の議案提出締切日を前に、うなぎ業界の関係者や環境省では危機感を募らせている。今回ニホンウナギが議案にかけられなかったとしても、3年後にまた提案される可能性があり、見送りは根本的な解決にはならないとする意見もある。
“二ホンウナギ「輸入規制可能性も」 関係者に危機感” (静岡新聞SBS,日本)

★米メイン州のシラスウナギ漁が好況だ。昨年の漁獲量は寒気により割当量10,000ポンド(約4,535kg)のうち5,300ポンド(約2,400kg)にとどまったが、今年は既に5,500ポンド(約2,490kg)に達しており、メインシラスウナギ漁協組合員のPierce氏によると、漁期は6/7までとなっているが、5月中旬には割当量に達するという。価格も、昨年は1ポンドあたり2,172$(約241,000円、1$=111円換算)であったのに対し、今年は1,500$(約166,500円)付近で推移している。
“Maine’s Eels, on Way to Becoming Sushi, Having Stronger Year” (abc NEWS,
US)

★ニュージーランド南島中央部Timaruで、24日午後11時20分ごろ、4人組がある家の前庭の芝生の上にウナギを捨てていったのが確認された。警察は犯人らの行方を追っている。(注:記事の写真はタウナギ類であり、ウナギ属魚類ではありません。ニュージーランドはタウナギ類の自然分布外であり、記事中の「eel」はウナギ属魚類である可能性が高いと考えています
“Eels thrown on front lawn in bizarre attack”(QT, AU)

★アメリカの大手電力会社Exelonと合衆国魚類野生生物局が25日、アメリカウナギの放流に関して同意した。これは元々は、ニュージャージー州のMuddy Run揚水発電所運用の際の取り決めを更新したもので、新しい施設によりウナギが移動をしやすくなった後、最短でも2030年までウナギを捕獲して汲み上げることになっている。この同意ではウナギ以外にも、アメリカシャッドとエールワイフ(river herring)を今後50年間、東海岸最大の川に放流する事や、同社がメリーランド州のConowingoダムの魚道を改善し、アメリカシャッド、エールワイフ各10万尾が4基のダム上流の産卵場所まで遡上できるようにするという内容も盛り込まれている。
“Landmark Agreement with Exelon, U.S. Fish and Wildlife Service uses 
Cutting-edge Science to Drive Fishes’ Return to Susquehanna River” (PR 
Newswire、US)

「日刊 世界のウナギニュース」は 平日の(およそ)毎日、研究室スタッフの山岡が世界のウナギニュースを厳選し、海外のものは抄訳をつけてお届けします。

日刊 世界のウナギニュース(2016年4月25日)

★三重県熊野市の大又川で20-30cmほどのウナギ2000匹が放流された。熊野市では、資源回復を目的に14年前から放流を行っている。
“大又川に養殖ウナギ2千匹放流 熊野市(三重県)” (日テレNEWS24、日本)

★鹿児島県が13年ぶりに県レッドデータブックの改訂を行い、新たにニホンウナギなどを記載した。
“県レッドデータブック改訂 絶滅危惧214種増の1436種” (読売オンライ
ン、日本)

★財務省の貿易統計により、昨年11、12月のシラスウナギ池入れ量の輸入元の約40%が香港であることが判明した。香港は、日中台韓で行っている輸入規制の対象外で、違法輸入の温床として昨今問題視されている。
“ウナギ稚魚輸入、香港が抜け穴に 資源管理協議に参加せず” (日本経済新聞、日本)
“日, ‘멸종 위기 장어 치어’ 홍콩서 대량 수입…‘밀수 적발’ 잇따라” (共同通信、日本)
“Endangered eels from Hong Kong are being exported to Japan in bid to 
circumvent regulations”(The Japan Times、日本)

★ニュージーランド南島のWhangaehu川で40尾以上のウナギが死んでいるのが見つかった。Greater Wellington地域自治体によると、温暖化により大量発生した、川沿いのヤナギのアブラムシから分泌される蜜が川に垂れ、低酸素状態になったのが原因としている。住民のRogers氏は、ヤナギは川の浸食を防ぐためどこの大きな河川にも植えられているため、似たような現象が起こるのではないかと懸念している。
“Eel deaths blamed on aphid invasion” (Wairarapa Times-Age, NZ)

★豪ビクトリア州は同州南西部Budj BimのUNESCO世界遺産登録に向け、訪問者用施設改良のために800万ドルを投じると発表した。同地域は世界最古の水産養殖地の一つとされ、この15年、先住民Gunditjmaraの子孫が世界遺産登録に向けて動いていた。Gunditjmaraは6600年前、定住のために、3300ヘクタールにわたるウナギ漁の仕掛けや堰など複雑なシステムを用いていた歴史がある。遺跡からは、一般的に考えられているアボリジニの遊牧生活とは異なり、石づくりの家に住み、村を形成し、養鰻のために川の流れを変えるなどの工事も行っていたことが分かっている。
“Budj Bim heritage site to get $8m upgrade to help UNESCO bid” (ABC, AU)

★米コネティカット州のPutnamで、Putnam Green Power社がCargill滝に設置する水力発電所に関して、市、州のエネルギー環境保護部、Putnam Green Power社らが、設置予定の除塵網場やウナギ用魚道について議論した。エネルギー環境保護部によると、ウナギ用魚道は市が予想しているよりも小さく、水量についても問題ないとしている。
“Officials hope to see Cargill Falls agreement soon” (The Bulletin 225, US)

★北朝鮮が最近、中国との国境にある鴨緑江という川で養鰻池を増やし、遊覧船の営業を妨害している。中国の経済制裁同調や、中国人の北朝鮮人に対するマナーの悪さなどが原因とみられている。
“北朝鮮、ウナギのいけすで中国に反撃か” (DailyNK Japan, 日本)

日刊 世界のウナギニュース(2016年4月22日)

★カナダのプリンスエドワード島の漁師が、漁業管理のために努力してきたにも関わらず、アメリカウナギがSpecies At Risk Act(絶滅危惧種法)によって厳しい保護の対象となるのではないかと懸念している。カナダ絶滅の危機に瀕する野生生物の現状に関する委員会(COSEWIC:The Committee on the Status of Endangered Wildlife in Canada)は、アメリカウナギを2006年に”絶滅危惧種”とした。Department of Fisheries and Oceans(水産海洋省)は本種の状態について科学、漁業に対する社会経済的な影響の見地から精査し、今年1月~3/18まで議論を行っていた。この議論の結果は、水産海洋省が、絶滅危惧種法によって本種が保護の対象となるか決定する前にフィードバックされる事になっている。だが会議参加者からは、会議の方法、多くのウナギ採捕者がウナギ以外の漁業からも収入を得ている事、招請されている漁師が十数名しかいない(許可証は700以上発行)事に対して懸念の声も上がっている。
“Fearful for eel fishery” (Journal Pioneer, CA)

★4/18にお送りした、アイルランドのウナギ採捕禁止により漁業者の生活が圧迫されている問題に関して(http://www.donegaldemocrat.ie/news/home/206077/Impact-of-Eel-fishing-Ban-examined.html)、Shannon川などにおけるウナギの資源管理責任者であるNí Riada欧州議会議員が、特にウナギに影響を及ぼしていると見られている国営電力会社ESBと議論を行った。議員は、ウナギがヨーロッパ全体で減少しているという現状を述べた上で、ESBの管理体制の怠慢を指摘、ネイ湖で行われているようなシラスウナギの放流のような資源回復のための投資をすべきだと訴えた。また、漁業規制だけでは資源は回復しない、漁業者を苦しめない予防策が必要である事も訴えた。ESBは、持続可能な漁業のためにどのように協働していくかについてステークホルダーと近いうちに議論すると約束した。

“Potential for a viable and sustainable eel fishery must not be ignored”(The Cork.ie,IE)

★デンマークの北海に面するHirtshalsで今年5/9から、ウナギ養殖実験施設が稼
働する。これは、シラスウナギの孵化と育成技術の開発を目的とした、デンマーク工科大学と6つの水産業者よりなるEEL-HATCHコンソーシアムの活動の一環。
“Forsøgsfacilitet til produktion af åleyngel indvies 9. maj 2016”(Fiskepleje.dk, DK)

「日刊 世界のウナギニュース」は 平日の(およそ)毎日、研究室スタッフの山岡が世界のウナギニュースを厳選し、海外のものは抄訳をつけてお届けします。