投稿者「海部 健三」のアーカイブ

日刊 世界のウナギニュース(2016年4月21日)

★14日までの米メイン州におけるシラスウナギの漁獲量は、州の漁獲割当量の27%(2,932ポンド(約1,330kg))となっている。取引価格は漁開始時は1,400$/ポンドだったが、現在は1,450$となっている。この価格は昨年に比べて低く、理由としては主な消費地である日本や台湾の不況が考えられる。養鰻場ではウナギの売れ行きが不振であると同時に、シラスウナギの供給は多いとする報告もある。
“Elver catch” (Mount Desert Islander, US)

★リトアニアとロシアの国境検問所で、”うなぎの蒲焼アイスクリーム”と称する商品740kg分が押収された。実際はアイスクリームではなくうなぎの蒲焼だったが、出荷に必要な書類との齟齬があるとして、違法輸送と判断された。(注意!! Google翻訳をもとに抄訳を記載しています)
“В Калининградской области задержано 740 кг жареного угря из Белоруссии” (Kremlin Press)

「日刊 世界のウナギニュース」は 平日の(およそ)毎日、研究室スタッフの山岡が世界のウナギニュースを厳選し、海外のものは抄訳をつけてお届けします。

★イギリスはElyのうなぎフェス情報。当日はパレードなどが催される。
“Ely Eel Festival Weekend 2016 – expect more food, fun and frolics than 
ever!” (Ely News, UK)

★カナダのノバスコシア州で行われているAltaGas社によるAlton Gasプロジェクト(岩塩層に3つの洞窟を掘って天然ガスを貯蓄する)の作業で生じる塩水が大量にShubenacadie川に廃棄されているため、湖などの水質が悪化していると非難する住民の声が紹介されている。投稿者はここ20年アメリカウナギを同川で見ていない事も挙げ、政府の野生生物に対する姿勢を嘆いている。
“BRINE BETRAYAL” (Herald Opinions, CA)

日刊 世界のウナギニュース(2016年4月20日)

★イギリス南部のCaerphillyで7日、野生生物の生息環境改善を目的に、地域住民と環境保護団体によるNant yr Aber川の清掃が行われた。この川にはウナギなどが生息しているため、いったん川の外に出してから作業を行った。15袋分のゴミ、冷蔵庫、ショッピングカートなどが取り除かれた。
“Big clean to help welcome back wildlife to community” (Caerphilly Observer, UK)

★昨日お伝えした、カナダのオンタリオ州の環境保護団体による訴えに関するニュースが引き続き取り上げられています。
“Loi sur les espèces menacées : la cause en délibéré” (Radio-Canada, CA)

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日刊 世界のウナギニュース(2016年4月19日)

★アイルランドのアスローンで1日、ウナギの採捕禁止による影響をテーマにしたセミナーが行われた。
Carthy欧州議会議員は、アイルランド政府の採捕禁止令は目的としている資源量回復を達成しておらず、漁業者の生活を脅かしている事を認識し、新政府は救済基金を設立すべきだと述べた。Ní Riada議員は、資源量が少ないことを考慮してステークホルダー、特に漁業者には保護と持続可能な利用に向けた取り組みに関わってほしい、ESB(アイルランドの国営電力会社)はEuropean Eel Consultancyによると、シラスウナギトラップのモニタリングや維持を怠っていると指摘、ESBと来週今後の方針について話し合うと述べた。
“Impact of Eel fishing Ban examined” (Donegal Democrat, IE)
Europan Eel Consultancyの活動例

★カナダのオンタリオ州の環境保護団体が、林業、工業、エネルギー産業などが絶滅危惧種条例(Endangered Species Act、山岡訳)を免除できるようにしている規則を撤廃するよう求めている。同団体は、この規則により160の絶滅危惧種が重要な法的保護から外れ、生息地が破壊されたと主張している。Tessaro弁護士は、Ontario湖とSt.Rawrence川で99%減少したとされるアメリカウナギの事例が、この条例が絶滅危惧種の最後の砦になるという主張をよく説明していると話した。2013年の制定以来、この規則により1100以上の業者と開発が免除されている。
“Fate of Ontario’s endangered plants and animals hangs in balance” (Exchange, CA)
“Espèces en péril : des environnementalistes traînent l’Ontario devant la cour d’appel” (Radio-Canada, CA)

★イギリス南部のFrampton-on-Severnで5/1、シラスウナギ食べ世界選手権が40年ぶりに開かれる。この大会はシラスウナギが激減したため行われていなかった。
“Elver Eating World Championship in Frampton-on-Severn” (So Glos, UK)

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日刊 世界のウナギニュース(2016年4月18日)

★静岡新聞社、南日本新聞社、宮崎日日新聞社の3社合同連載「うなぎNOW」が先日水産ジャーナリストの会大賞を受賞し、15日、その授与式が行われた。「うなぎNOW」は書籍化される予定。
“「ウナギNOW」大賞授与 水産ジャーナリストの会” (静岡新聞SBS、日本)

★イギリス南西部Herefordshire水域では、2012年から、ゴールデンバレー魚類野生生物協会(The Golden Valley Fish and Wildlife Association、山岡訳)が、養殖場からウナギを買い上げ、河川に放流している。これまで16万尾の放流実績があり、今年は3万6千匹を放流した。プロジェクトリーダーのMcCulloch氏は最近30年でウナギの数が99%以上減少しているが、活動を始めてからは、当初もしくは減少が見られている他地域の11倍に増加したと話す。
“Further eels saved from export and returned to county’s rivers” (Hereford Times, UK)

★先週の金曜日(15日)に紹介したフランスのSud-Mancheダム撤去のニュースが、別のサイトでも取り上げられています。
“Une première dans le Var : le parcours de pêche en famille sur la Reppe” (Ouest-Var.net, FR)

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日刊 世界のウナギニュース(2016年4月15日)

★先日お送りした、イギリスで今月末~5月初頭に行われるうなぎ祭りで、うなぎ投げコンテストの挑戦者を募集している。投げるのは本物のウナギではなくぬいぐるみ。
(研究室の海部は2012年にElyを訪れ、ウナギ投げコンテストに参加しました)

“Who can beat Whizzle the twice reigning champions of the Ely Business 
Eel Throwing Contest?” (Wisbech Standard, UK)

★14日、漁業者と環境保護団体からなるグループ、les Amis de la Sélune(Sé
lune川友の会・山岡訳)が、フランス北部MancheのSélune川にあるVezinsダムとRoche-qui-boitダム撤去を裁判所に求めた。絶滅危惧種のウナギが生息できるような水圏環境を取り戻すとした公約を政府が守っていない、など4項目について訴えた。
“Barrages du sud-Manche : les Amis de la Sélune passent à l’action” (La 
Manche Libre.fr, FR)

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日刊 世界のウナギニュース(2016年4月14日)

★アメリカではメイン州とサウスカロライナ州で唯一シラスウナギの採捕が行われている。メイン州では2015年に2,500ドル/ポンドという過去最高価格となったが、一方でサウスカロライナ州の単価は2015年は371ドル/ポンド、今年は70ドル/ポンドと年々下がり続けている。シラスウナギの来遊量が問題なのではなく、複雑な採捕者許可制度、採捕期間と最も需要がある期間とのずれなどが理由として紹介されている。
“The secretive and slippery world of glass eel fishing” (Charleston City 
Paper, US)

★フランス北部Dunkerquoisでは、レプトスピラ症などを媒介する可能性のあるネズミ科マスクラットの駆除を行っている。これはウナギなどの回遊魚の生息地を含む水圏環境改善を目的としたGDON Flandre maritimeプロジェクトの一環で、本プロジェクトはINTERREG(EU域内協力プロジェクト)の一つ。
“Dunkerquois: les rats musqués envahissent aussi les villes” (La Voix du 
Nord, FR)

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日刊 世界のウナギニュース(2016年4月13日)

★長野県で唯一養鰻を行っている岡谷市の会社役員と自営業の2人による生育が順調。12月頃に10,000尾を出荷予定。
“岡谷産ウナギの養殖 12月出荷へ生育順調” (長野日報,日本)

★イギリスの南東部East Cambridgeshireで4/30〜5/2で、うなぎを使った様々な料理が楽しめるイベントを開催。ラディッシュサイダーゼリーとレモン・セロリのカスタードを添えたうなぎ・リンゴクランブルなど変わった料理もある。
“Fancy a bowl of eel and apple crumble? Then get to the Ely Eel Festival 
over May Bank Holiday weekend” (Wisbech Standard, UK)

★イギリス郷土料理好きな物・嫌いな物を選ぶアンケートで、ウナギのゼリー寄せが嫌いな物ベスト2にランクイン(ベッカムは好き)。
“Britain’s most popular regional food has been revealed – is yours dish 
of the day?” (Mirror, UK)

★ニュージーランド北島南で高速道路が建設されるため(Transmission Gullyプロジェクト)、付近の Te Puka川(長さ2.3km)に生息するウナギなどを含む3,000〜4,000尾の魚類が移送される。この作業は2月から行われており、500mごとに川を区切って採捕し、個体識別、計数や計量後、Wainui川上流に放つというもの。
一部は新しいTe Puka川建設後に元の場所に再放流される予定で、Wellington Gatewayパートナーシップ 長のLow氏は、元の個体数に戻るのには5年かかると見ている。
“Fish relocated to Wainui Stream as Transmission Gully construction 
continues” (stuff.co.nz, NZ)

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日刊 世界のウナギニュース(2016年4月12日)

★アラスカ物産株式会社(東京都港区)が、うなぎの代替品として、アラスカ産のヤツメウナギを輸入する。
“天然ヤツメウナギをアラスカから輸入します” (Value Press!、日本)

★アメリカのコネティカット州の、今年2月に撤去されたPond Lilyダムの川岸で9日、ボランティアによる川岸の植樹が行われた。ダムのあったWestville 
Village地方は洪水を繰り返しており、将来的な災害リスク軽減のため撤去され
た。この撤去プロジェクト費用は、合衆国魚類野生生物局のハリケーンサンディ回復基金から、66万1000ドル(約7132万円)出資され、複数の環境保護団体等から支援を受けている。撤去により、地域活性化や、West川に生息していたウナギやシャッドなどが戻ってくる事が期待されている。
“Pond Lily Volunteer Planting Restores New Haven’s West River”(Norwalkplus.com, US)

★アメリカのメイン州のシラスウナギ漁の漁獲量が、解禁から3週間で年間漁獲割当量の約23%に達した。漁業者は採捕時にATMカードのような磁気カードを携帯し、販売業者が購入量を記録、そのデータが毎日、海洋資源局に報告されるシステムになっている。このデータにより当局は、年間漁獲割当量に対する水揚げ量と各漁業者の漁獲量を管理できる。割当量に到達するとカードが使用できなくなり、採捕者は取引ができなくなる。シラスウナギは現在のところ、1400ドル/ポンドで取引されている。
“Cold weather fails to put chill on state elver harvest”(The Ellsworth American, US)

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日刊 世界のウナギニュース(2016年4月11日)

★静岡県のシラスウナギ漁を前倒しで終了させるニュースが静岡新聞以外でも取り上げられています。
“ウナギ稚魚漁を前倒し終了 静岡、池入れ上限に到達”(産経フォト、日本)
“ウナギ稚魚漁を前倒し終了 静岡、池入れ上限に到達”(中日新聞、日本)

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シラスウナギ漁業管理に光明

静岡新聞が伝えたところによると,県内のシラスウナギ漁獲量が割り当てられた漁獲量上限に達したため,漁期半月を残して今月14日に漁期を終了するという。静岡新聞によれば,漁獲量上限到達による漁期の終了は全国で初。

“シラスウナギ漁、終了前倒し 静岡県内、池入れ上限到達” (静岡新聞SBS、日
本)

シラスウナギは都道府県の漁業調整規則によって漁獲が禁じられており,採捕には知事が交付する特別採捕許可が必要とされる。都府県ごとに採捕量の上限が定められているが,これまで調べたいずれの県においても,設定されていた上限は,常に実際の漁獲量を大幅に上回っていた。つまり,上限量が漁獲量を削減する実効性を持っていなかったのである。昨年度から始まった池入れ量制限に関しても,平成26,27年度の上限(21.6,21.7トン)は,実際の池入れ量18トンよりも20%以上多く,シラスウナギの漁獲量を削減する効果がなかったことが分かっている。

このような状況のなか,日本で初めて漁獲量上限到達による漁期の終了が行われたことは,暗闇の中のひとつの光明にも例えられるだろう。全国で,東アジア全体に広げるべき事例である。今後重要なことは,科学的な知見に基づいて漁獲量の上限を定めることにある。現在の上限量は,近年目だってシラスウナギ漁獲量が多かった2年前のシーズンを基準に、その8割の量と定められている。つまり,全く科学的根拠を持たない上限量である。データが限られている中で決められた上限量なので致し方ない面もあるが,持続的に利用するためには,科学的な根拠に基づいて上限量を決める必要があり,せめて,いつまでにその状況を実現するのか,ロードマップを明確にする必要がある。

「シラスウナギの漁業管理は不可能」という意見もあるなか,今回,静岡県は可能であることを示そうとしている。一見当たり前のように見えるこの判断の重要性を強調するとともに,静岡県の姿勢に敬意を表したい。

海部