投稿者「海部 健三」のアーカイブ

日刊 世界のウナギニュース(2016年4月8日)

★静岡県のシラスウナギ漁が池入れ上限に達したため、約半月前倒して終了する。県のシラスウナギ漁は、静岡うなぎ漁業協同組合(上限約500kg)と、浜名湖養魚漁業協同組合(上限約1,300kg)の二つの組合により行われている。前者は2月下旬に上限に達し、後者も14日までには達する見込みだが、到達しなくても14日に打ち切る予定。関係者は、「漁の早期打ち切りで、ウナギの資源保護に取り組む姿勢を世界に示したい」と述べた。
“シラスウナギ漁、終了前倒し 静岡県内、池入れ上限到達” (静岡新聞SBS、日
本)

★アメリカのメイン州で2日、61歳の男性がシラスウナギの違法所持で逮捕された。男性は2015年に販売業者の許可証を持っていたが、今年は持っていなかった。
“The Maine Marine Patrol has arrested a man for illegal possession of 
baby eels, a valuable seafood species” (Daily Journal,US)

★カナダで2日、コンピューターサイエンス、情報科学、統計を専攻する博士課程の学生らが、アメリカウナギ、ニシオンデンザメなどの追跡データを利用したインタラクティブマップの開発を行うイベントが開催された。上位3チームには賞金が贈られた。後援に、カナダの科学者によって構成される国家グループMEOPAR(Marine Environmental Observation Prediction and Response Network:海洋環境観察・予測・反応ネットワーク、山岡訳)と地理情報システムの開発や販売を行うEsri Canada社。
“‘Trackathon’: CompSci students visualize OTN animal tracking data” (
Asian Correspondent, UK)

「日刊 世界のウナギニュース」は 平日の(およそ)毎日、研究室スタッフの山岡が世界のウナギニュースを厳選し、海外のものは抄訳をつけてお届けします。

日刊 世界のウナギニュース(2016年4月7日)

★宮崎県三郷町の「国際うなぎLABO」等が昨年12月下旬、同県日向市小倉ヶ浜海岸から放流したウナギ3匹の追跡調査から、ウナギが黒潮に乗って北上し、静岡県遠州灘で南下、八丈島付近へ移動していた事が分った。3匹とも捕食されてはいるが、捕食されないように日周鉛直移動をしている事を示すデータも得られた。
“ウナギ 黒潮に乗り回遊 美郷の研究施設が追跡調査” (読売新聞、日本)

★アメリカのニューハンプシャー州のHampton Falls川で4日、27歳の男性がウナギの密漁で逮捕され、漁具と覚せい剤が押収された。男性は2014年にもアメリカウナギの違法採捕で逮捕されている。
“State Fish and Game officials say a Newbury man has been accused of poaching eels in the Hampton Falls River” (Daily Journal, US)

★スウェーデンのウプサラのFyrisånで5日、自治体や大学等が協同でフィッシュカウンターを設置。同地域にはウナギなど15-20種の魚種が生息しており、カウンターにより、戻ってくる魚種や数をカウントできる。カウンターの様子はWebサイトでも確認可能。
“Ny fiskräknare filmar firren”(Upsala Nya Tidning, SE)

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ウナギの本が発売されました

2016年4月1日、ウナギの本が発売されました。
「ウナギのいる川 いない川」内山りゅう(著) 楫善継(監修)ポプラ社

近年多く出版されている生態解説の本とは異なり、生息環境に焦点をあてた画期的な本です。フルカラーで写真が多く、ウナギの生態写真集と言っても良いでしょう。「ウナギを守りたいけどどうしたら良いのか分からない」という声を良く聞きますが、この本を読み、写真にあるような環境を目指して河川や沿岸域の環境の再生を進めてはいかがでしょうか。なお、局所環境の再生を行う場合、海と川のつながりが確保されていることが大前提になります。天然のウナギが遡上できなければ、局所的な環境を改善しても意味がないためです。

子どもでも大人でも楽しめる一冊は、ウナギの保全と持続的利用を進める一助になるでしょう。これまであまり多く発表されて来なかったニホンウナギの生態写真、特に日中物陰に隠れる習性を持つ本種の昼間の姿を捉えた写真が多く収蔵されていることは、生態の研究をしている人間の一人として本当にすごいと思います。ぜひ一読を。

海部

日刊 世界のウナギニュース(2016年4月5日)

★昨日お伝えした、スペインで40人の違法シラスウナギ採捕者が逮捕されたニュースが引き続き取り上げられている。
“Illegal eel fisherman arrested in Cantabria” (Spanish News Today, ES)
“40 people arrested for illegal elver catch” (FiS, US)

★2月末~3月初めの、地中海のウナギはジブラルタル海峡を通ってから北海へ泳いでいくことを確認したというニュースがフランスでも報じられた。
“Le mystère de la migration des anguilles de Méditerranée en partie dé
voilé !” (Institut national des sciences de l’univers, FR)

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日刊 世界のウナギニュース(2016年4月4日)

★静岡県三島市で2日、ウナギの生態や保全に関する市民向け講座「うなぎ講座」(同市ウナギ料理屋「うなよし」主催)が開かれた。さかなクンが生態、九州大学の望岡教授がウナギが現在置かれている問題、鹿島建設株式会社の柵瀬氏が石倉かごについて説明。
“ウナギ生態系解説 三島で講座、講師にさかなクンら” (静岡新聞SBS,日本)

★スペインのCantabriaで1日、シラスウナギの違法採捕を行ったとして40人が逮捕され、船舶2隻、ボート1隻を含む65の漁具が押収された。治安警察は逮捕後、8.3kg分のシラスを海に戻した。治安警察は、密漁者の現行犯逮捕を目的に1月から”SARGASSO”運動を始めている。
“Angulas Arrests” (Euro Weekly, ES)

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日刊 世界のウナギニュース(2016年4月1日)

★アメリカ、ニューヨーク州のボランティア団体、Saw Kill流域コミュニティの
ミーティングが4/4に行われる。ミーティングでは、アメリカウナギ市民科学調
査プロジェクトについて議論される予定。本プロジェクトは研究者、学生、地域住民がHudson川支流で毎春、シラスウナギを採捕する。
“Saw Kill watershed community meeting April 4 in Red Hook” (The Daily Freeman, US)

★イギリスのGuardianでヨーロッパウナギの密漁と密売に関するコラムが掲載されています
“Illegal eel: who is pilfering Europe’s catch?” (The Guardian, UK)

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日刊 世界のウナギニュース(2016年3月31日)

★千葉県白子町の南白亀川で23日、地元の小学生が南白亀川漁協の行事でウナギの成魚240尾を放流した。同川の改修護岸工事を行った土木業者2社が出資。
“千葉)白子町の南白亀川でウナギ放流 白潟小児童” (朝日新聞,日本)

★宮崎県のシラスウナギ漁獲量、過去3番目の不漁。今季は昨年12/6~今年3/19まで行われ、特に昨年12月の漁獲量が前季比の半分強にとどまった。そのため、前季は81万円/kgであった取引価格が、今季は113万円/kgとなった。
“シラスウナギ 今季も不漁 県、資源管理徹底を呼びかけ”

★WWFカナダにより、Nova Scotia、Prince Edward島、New Brunswick、Quebecの水域の汚染度が全体的に見て高い事が判明した。Nova ScotiaのFundy湾、St Lawrence湾、Prince Edward島では特に農業汚染と点源汚染によるリンと窒素過多が見られ、汚染度は高レベルと判定された。Funky湾、St Lawrence湾の一部では、基準値を上回るアルミニウム、カドミウム等も検出された。Nova Scotia南東大西洋側は、点源汚染(直接排水)とパイプライン事故のため高レベルとされた。また、ダムや道路、鉄道による生息地の分断が全地域で見られている。これらの地域には150万人の人が生活しており、アメリカウナギ、絶滅危惧種のモリイシガメなどの生息地として知られている。
WWFは、情報不足に対しても懸念している。
“Pollution a very high threat to Eastern Canada watershed, new WWF 
report finds” (Montreal Gazette, CA)

★スウェーデン南東のBråvikenで28日夕方と29日朝に無許可のウナギ漁用の網が見つかった。スウェーデンでは2007年5月からウナギの採捕が禁止されている。
“Fiskebrott upptäckt i Bråviken” (nt.se, SE)

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日刊 世界のウナギニュース(2016年3月29日)

★北アイルランドのネイ湖漁協が、組合員を7人追加し、総勢15人程度となったと発表した。漁協ではウナギなどを含む魚類の採捕を5/31まで禁じており、理事長のClose氏は今まで違法行為はないと話す。採捕許可の管理を行っている文化・芸術・レジャー省では引き続きパトロールを行うとしている。
“Fishermen’s Co-operative beefs up number of bailiffs working on Lough Neagh”(Mid-Ulster Mail, UK)

★すでに紹介した、国連が公海保護に向けて動き出したというニュースが取り上げられている。
“The next big environmental treaty: The high seas” (Fusion, US)
“UN Committee Begins Work on High Seas Treaty” (ABC News, US)

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日刊 世界のウナギニュース(2016年3月28日)

★国連が来週から公海の生物保護に向けて「強固なシステム」づくりができるように議論を開始する。公海は海洋全体の2/3を占めているが、これまでは、共有のものであり誰も責任を負うものではないという認識があり、国際的な規制がなされてこなかった。しかし合意形成には、各国が対象種、生息地やその範囲、公海内に入れる人数等を決定しなければならず、簡単な道のりとは言えない。国連の水圏保護の施策を援助しているピューチャリタブルトラストは、公海における漁業やその他の人類活動の厳重な規制や禁止をするよう国連に提言しているほか、政策立案者のために環境への影響度評価方法の作成もするよう強く求めている。
“U.N. Aims to Protect More of the High Seas” (Scientific American, US)
”World’s nations gather to rescue ocean life” (Phys.org,US)
「公海の生物保全へ条約 国連、乱獲防止ルール策定へ (日本経済新聞、日本)」(記事の冒頭のみ無料公開、続きは会員のみ。)

★イギリスの文化遺産宝くじ基金は金曜日、北アイルランドのネイ湖の文化や自然保護を目的とした、ネイ湖景観パートナーシップ(Lough Neagh Landscape Partnership:山岡訳)に対し249万ポンド(約3億9840万円)の助成金を出すと発表した。ネイ湖はバイキングの居住跡地やイギリスでも数少ないウナギ漁地として知られている。本パートナーシップの期間は5年間で、湿地・泥岩帯・沼地の保護、地域住民のトレーナーとしての育成、地域再開発などを行う27のプロジェクトからなる。
“Lough Neagh’s heritage receives £2.49m grant” (Ballymena Times, UK)
*3月17日に関連のニュース

★ヨーロッパウナギとアメリカウナギの産卵がどのように行われているか、どこでどのようにして仔魚が生まれるかは未だにわかっていない。
“Biologists still don’t know where baby eels are made” (Digital 
Jouurnal, US)

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日刊 世界のウナギニュース(2016年3月25日)

★静岡新聞社と南日本新聞社、宮崎日日新聞社の合同連載企画「ウナギNOW」が、2015年の水産ジャーナリスト会大賞を受賞。
“地方3紙のウナギ合同連載が受賞 水産ジャーナリスト会大賞” (中日新聞,日
本)

★アメリカのマサチューセッツ州North Billericaで、回遊性の魚がConcord川に移動しやすくするため、国家歴史登録財でもあるTalbot Millsダムを改築するか撤去するかを問うパブリックコメントが4/6まで募集されている。2/23に開かれた住民会議では、アメリカウナギなどの回遊性魚類の移動が、Merrimack川にあるEssexダム、Concord川のMiddlesex滝とCentennial Fallsダムによって妨げられているとし、その中でも主要因がTalbot ダムであるという報告がなされ、ダムの構造や、(設置した場合の)魚道のデザインなどについての評価が行われた。
一方、Middlesex運河協会役員会は、建設中(25%の段階で数年止まっている)
のダムの貯水湖を中心としたMiddlesex Canal公園建設に既に巨費が投じられて
おり、今後の建築費としても340万ドルの予算があるとして、3/2に行われた投票では反対票を投じている。
“Officials seek input on Billerica’s Talbot Mills Dam proposal by April 6” (Wicked Local Billerica、US)

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