シラスウナギ漁業管理に光明

静岡新聞が伝えたところによると,県内のシラスウナギ漁獲量が割り当てられた漁獲量上限に達したため,漁期半月を残して今月14日に漁期を終了するという。静岡新聞によれば,漁獲量上限到達による漁期の終了は全国で初。

“シラスウナギ漁、終了前倒し 静岡県内、池入れ上限到達” (静岡新聞SBS、日
本)

シラスウナギは都道府県の漁業調整規則によって漁獲が禁じられており,採捕には知事が交付する特別採捕許可が必要とされる。都府県ごとに採捕量の上限が定められているが,これまで調べたいずれの県においても,設定されていた上限は,常に実際の漁獲量を大幅に上回っていた。つまり,上限量が漁獲量を削減する実効性を持っていなかったのである。昨年度から始まった池入れ量制限に関しても,平成26,27年度の上限(21.6,21.7トン)は,実際の池入れ量18トンよりも20%以上多く,シラスウナギの漁獲量を削減する効果がなかったことが分かっている。

このような状況のなか,日本で初めて漁獲量上限到達による漁期の終了が行われたことは,暗闇の中のひとつの光明にも例えられるだろう。全国で,東アジア全体に広げるべき事例である。今後重要なことは,科学的な知見に基づいて漁獲量の上限を定めることにある。現在の上限量は,近年目だってシラスウナギ漁獲量が多かった2年前のシーズンを基準に、その8割の量と定められている。つまり,全く科学的根拠を持たない上限量である。データが限られている中で決められた上限量なので致し方ない面もあるが,持続的に利用するためには,科学的な根拠に基づいて上限量を決める必要があり,せめて,いつまでにその状況を実現するのか,ロードマップを明確にする必要がある。

「シラスウナギの漁業管理は不可能」という意見もあるなか,今回,静岡県は可能であることを示そうとしている。一見当たり前のように見えるこの判断の重要性を強調するとともに,静岡県の姿勢に敬意を表したい。

海部

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