日刊 世界のウナギニュース(2016年4月22日)

★カナダのプリンスエドワード島の漁師が、漁業管理のために努力してきたにも関わらず、アメリカウナギがSpecies At Risk Act(絶滅危惧種法)によって厳しい保護の対象となるのではないかと懸念している。カナダ絶滅の危機に瀕する野生生物の現状に関する委員会(COSEWIC:The Committee on the Status of Endangered Wildlife in Canada)は、アメリカウナギを2006年に”絶滅危惧種”とした。Department of Fisheries and Oceans(水産海洋省)は本種の状態について科学、漁業に対する社会経済的な影響の見地から精査し、今年1月~3/18まで議論を行っていた。この議論の結果は、水産海洋省が、絶滅危惧種法によって本種が保護の対象となるか決定する前にフィードバックされる事になっている。だが会議参加者からは、会議の方法、多くのウナギ採捕者がウナギ以外の漁業からも収入を得ている事、招請されている漁師が十数名しかいない(許可証は700以上発行)事に対して懸念の声も上がっている。
“Fearful for eel fishery” (Journal Pioneer, CA)

★4/18にお送りした、アイルランドのウナギ採捕禁止により漁業者の生活が圧迫されている問題に関して(http://www.donegaldemocrat.ie/news/home/206077/Impact-of-Eel-fishing-Ban-examined.html)、Shannon川などにおけるウナギの資源管理責任者であるNí Riada欧州議会議員が、特にウナギに影響を及ぼしていると見られている国営電力会社ESBと議論を行った。議員は、ウナギがヨーロッパ全体で減少しているという現状を述べた上で、ESBの管理体制の怠慢を指摘、ネイ湖で行われているようなシラスウナギの放流のような資源回復のための投資をすべきだと訴えた。また、漁業規制だけでは資源は回復しない、漁業者を苦しめない予防策が必要である事も訴えた。ESBは、持続可能な漁業のためにどのように協働していくかについてステークホルダーと近いうちに議論すると約束した。

“Potential for a viable and sustainable eel fishery must not be ignored”(The Cork.ie,IE)

★デンマークの北海に面するHirtshalsで今年5/9から、ウナギ養殖実験施設が稼
働する。これは、シラスウナギの孵化と育成技術の開発を目的とした、デンマーク工科大学と6つの水産業者よりなるEEL-HATCHコンソーシアムの活動の一環。
“Forsøgsfacilitet til produktion af åleyngel indvies 9. maj 2016”(Fiskepleje.dk, DK)

「日刊 世界のウナギニュース」は 平日の(およそ)毎日、研究室スタッフの山岡が世界のウナギニュースを厳選し、海外のものは抄訳をつけてお届けします。

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