化学物質汚染されたウナギを食べたら・・ イギリス(日刊 世界のウナギニュース2016年10月4日)

★化学物質汚染されたウナギを食べたら・・
SEGが、このほど発表された、(過去に)高濃度汚染地域のウナギを消費する事でダイオキシンなどの有害物質が体内に蓄積する事を初めて、明らかにした論文を紹介している。研究では、低濃度汚染の地域または養鰻場と高濃度汚染された地域、それぞれの地域で習慣的にウナギを食べている40-70歳の男性80人の血清を調査した。その結果、高濃度汚染された地域のウナギを食べていた人からはそうでない地域の人よりも2.5~10倍のダイオキシンとPCBs、8倍のダイオキシン様物質(OH-PCBs:PCBs水酸化代謝物)が検出された。また、*PFASも明らかに高濃度だった。研究者らは事前のリスク評価と、汚染物質の予測が重要だとしている。

*PFASs・・ペルフルオロアルキル化合物。難分解性、生物蓄積性がある人工化学物質。物質によっては、子供や胎児の成長、学習、挙動に影響を及ぼす可能性がある。生殖機能低下、発がんリスクの増加等も招くとされている。
参照先:http://repo.lib.hosei.ac.jp/bitstream/10114/10710/1/13R2116.pdf
https://www.atsdr.cdc.gov/pfc/docs/pfas_fact_sheet.pdf

“ACCUMULATION OF PERSISTENT ORGANIC POLLUTANTS IN CONSUMERS OF EEL FROM POLLUTED RIVERS COMPARED TO MARKETABLE EEL” (SEG, UK)
http://www.sustainableeelgroup.org/2016/10/04/accumulation-of-persistent-organic-pollutants-in-consumers-of-eel-from-polluted-rivers-compared-to-marketable-eel/

★SEG、CoP17でのEU提案承認を歓迎
2日、ヨーロッパのウナギの専門家組織SEGがCoP17でのEU提案承認を歓迎すると表明した。この提案には種ベースでの国際的または地域的な協力を促進する事、実践的なワークショップに適宜参加し、確認されている主なトピックに関する知識を共有する事などが含まれている。また、中国は全体的に支持を表明したが他のウナギ属魚類は附属書に含まれるべきだとは考えていないという。提案は最終的に、事務局からのコメントの追加とアメリカからの訂正を経て承認された。
“SEG WELCOMES THAT EU DRAFT DECISIONS WERE ACCEPTED AT CITES COP 17!” (SEG, UK)
http://www.sustainableeelgroup.org/2016/10/02/seg-welcomes-that-eu-draft-decisions-were-accepted-at-cites-cop-17/

★自治体がウナギにやさしい水力発電用水車開発に投資
イギリス南西部サマセット州BathamptonのAvon川で、地域企業による水力発電用の水車の開発が行われている。この水車は1987年に設置されたが、ウナギなどの魚類が通り抜けられるような構造に生まれ変わり、20世帯分1年分の電力が生産される。今後は電力量を20MW(4500世帯分)まで増やす見通し。地域企業が開発する事で地元住民が投資し配当金が得られるというメリットがある。今回の事業にはCO2排出量削減や再生エネルギー開発を戦略としているBath & North East Somerset(自治体)が13万ポンド(約1,690万円)投資した。
“Council invests in new water wheel for community’s renewable energy scheme” (Bath Echo, UK)
http://www.bathecho.co.uk/news/community/council-invests-new-water-wheel-communitys-renewable-energy-scheme-68919/

「日刊 世界のウナギニュース」は 平日の(およそ)毎日、研究室スタッフの山岡が世界のウナギニュースを厳選し、海外のものは抄訳をつけてお届けします。

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