日刊 世界のウナギニュース(2016年6月30日)

★名古屋城の外堀でウナギ発見
★EMPを見直そう Dekker教授が呼びかけ
★仏政府 ウナギの放流事業に対し最大200万€出資
★ヨーロッパ最後の未開発大型河川にダム建設か

★名古屋城の外堀でウナギ発見
愛知県の名古屋城の外堀で25日、なごや生物多様性保全活動協議会による生物相調査が行われた。過去に目撃情報があり今回の調査のターゲットとしていたアリゲーターガーは確認できなかったものの、ウナギ、ライギョ、ニホンイシガメなどが見つかった。
“ウナギやスッポン確認 名城外堀で市民ら調査” (中日新聞、日本)
http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20160630/CK2016063002000055.html

★EMPを見直そう Dekker教授が呼びかけ
スウェーデン農業科学大学のWillem Dekker教授が、ウナギ管理計画(Eel Management Plan, EMP)を見直そうと呼びかけている。EMPはEU加盟国が2007年から行っている保全策で、銀ウナギの40%以上(1980年以前の)を降河させるなどの目標が設定されている。Dekker教授は、達成のための計画は国ごとでなされているが国家間での協力や計画のフィードバックがない、統一性がなく目標が達成できていないと現状の問題を指摘。保全活動や評価を各国で今すぐ行うべきだと主張している。
“EUROPEAN EEL MANAGEMENT NEEDS TO BE REFOCUSSED!” (The Sustainable Eel
Group, UK)
http://www.sustainableeelgroup.org/2016/06/29/european-eel-management-needs-to-be-refocussed/
Dekker教授のレポート:
http://icesjms.oxfordjournals.org/content/early/2016/06/20/icesjms.fsw094.full.pdf?keytype=ref&ijkey=Ob9mjntGz1S9x3P

★仏政府 ウナギの放流事業に対し最大200万€出資
フランスの環境・エネルギー・海洋省は29日、EUのウナギ管理計画達成のために行う放流事業に対し、総額で最大200万€出資すると発表した。2016-2017年にかけて行われるものが対象。
“Appel à projets 2016 pour le repeuplement de l’anguille” (フランス政府,
FR)
http://www.developpement-durable.gouv.fr/Appel-a-projets-2016-pour-le.html

★ヨーロッパ最後の未開発大型河川にダム建設か
アルバニアのVjosa川では現在、巨大ダムの建設計画が持ち上がっている。Vjosa川は全長270kmの、ギリシャ北部からアドリア海まで流れる、北極圏を除くヨーロッパでは最後の自然のままの姿が残されている大型河川である。この川はウナギが成育場としても利用している。バルカン半島の河川には他にも、絶滅が危惧されているドナウイトウ、淡水二枚貝、また周囲にはバルカンオオヤマネコも生息している。経済監視機関のBankwatchは、バルカン半島の国々では現在、建設計画中あるいは建設中の水力発電プラントが1,355基あり、うち半分は自然保護区になっていると報告している。また、欧州復興開発銀行などが貸付を行っている75の水力発電事業(8億1,800万€)のうち30事業が自然保護区に直接的な影響を及ぼしている事、同銀行などでは保護区における事業への拠出が当たり前になっている事などを指摘している。
“Europe’s Last Wild Rivers Could Soon Drown [Video]” (Scientific American, US)
http://www.scientificamerican.com/article/europe-s-last-wild-rivers-could-soon-drown-video/

「日刊 世界のウナギニュース」は 平日の(およそ)毎日、研究室スタッフの山岡が世界のウナギニュースを厳選し、海外のものは抄訳をつけてお届けします。

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