英国テムズ川における市民協働型ウナギ・モニタリング

2017年6月に開催された国際ウナギシンポジウムにあわせて、英国の河川におけるウナギ保全の取り組みを見学させてもらいました。うち、一部を順次ご紹介します。

市民協働のテムズ川ウナギモニタリング
ロンドン動物学会、英国環境庁などが主導し、市民と協働してのウナギをモニタリングするプログラムが発達しています。この市民協働型のウナギモニタリングシステムを、ロンドン動物学会の協力を得て、日本にも導入する予定です。近日中にお知らせできるかと思います。

2017年6月、ロンドン市街を流れるテムズ川で、水門に設置されたウナギ魚道における市民科学によるウナギ遡上量のモニタリングを見学しました。モニタリングは、ロンドン動物学会と英国環境庁が、120名ほどの地域住民とともに行なっているということです。

テムズ川の水門。階段状の構造は、水流を緩やかにするためであり、生物の移動を目的としたものではありません。

テムズ川の水門。階段状の構造は、水流を緩やかにするためであり、生物の移動を目的としたものではありません。

水門には、ウナギの遡上を助けるウナギ用魚道が設置されています。ウナギ魚道の目的は遡上の促進とモニタリング。トラップを用いてウナギの遡上数をモニタリングできますが、トラップを外すとウナギは自由に遡上できます。

テムズ川ウナギ計画で使用されているウナギ魚道。途中の箱がトラップ。

テムズ川ウナギ計画で使用されているウナギ魚道。途中の箱がトラップ。

魚道の途中に仕掛けられたトラップ。ここでウナギを捕獲するが、トラップを外すとただの魚道にな理、ウナギは自由に上流へと遡上できる。

魚道の途中に仕掛けられたトラップ。ここでウナギを捕獲するが、トラップを外すとウナギは自由に上流へと遡上できる。

モニタリングでは、トラップで捕獲されたウナギの個体数を計数し、全長を計測します。重量は計測しません。全長計測はビニール袋の中で行い、麻酔はしません。計数、計測後に上流側へ放流します。

捕獲されたウナギ

捕獲されたヨーロッパウナギ

市民協働のウナギ・モニタリング工程表

市民協働のウナギ・モニタリング工程表

捕獲したウナギの全長を計測

捕獲したウナギの全長を計測

計数、計測後は上流側へ放流して終了

計数、計測後は上流側へ放流して終了

資料
ロンドン動物学会テムズ川ウナギプロジェクトの紹介ページ
テムズ・ウォーター社
Hydrolox社

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