市民協働型ウナギモニタリングプログラムへの参加を募集します

中央大学ウナギ保全研究ユニットでは、ロンドン動物学会及び日本自然保護協会と提携し、市民協働型のウナギモニタリングプログラムを開始することを計画しています。

背景

ニホンウナギの危機的状況が危惧されているにもかかわらず、個体群が増加しているのか、減少しているのか、正確に把握されていません。その理由の一つには、生息域が散在し、データの取得が困難であることが挙げられます。

市民との協働による調査は、幅広い地域からデータを集めることが可能です。すでにヨーロッパでは市民との協働によるウナギモニタリング調査が行われており、成果を上げています。そこで、ヨーロッパで行われている市民協働型モニタリング調査を、日本国内に導入することを目指します。

手法

国際的な環境保全NGOであるロンドン動物学会がテムズ川で行なっている「テムズ川ウナギ計画」をモデルとして導入します。試行を重ねることにより、日本におけるウナギのモニタリングに適した手法へと修正する予定です。

「テムズ川ウナギ計画」では、ウナギの遡上を阻害する落差工や堰などの河川横断工作物にウナギ魚道をとりつけ、魚道の途中に設置したトラップを用いて遡上数を定量的に観測します。専門家の協力のもと、地域の市民が主体となってウナギの遡上量をモニタリングすることができるシステムです。

ニホンウナギ減少の主要な要因の一つとして、落差工や堰などの河川横断工作物による遡上の阻害が疑われています。このモニタリング計画により、ウナギの魚道の設置が進むことにより、ウナギの遡上を促すことができます。

テムズ川ウナギ計画で使用されているウナギ魚道。途中の箱がトラップ。

テムズ川ウナギ計画で使用されているウナギ魚道。日陰の部分に見える箱がトラップ

魚道の途中に仕掛けられたトラップ。ここでウナギを捕獲するが、トラップを外すとただの魚道にな理、ウナギは自由に上流へと遡上できる。

魚道の途中に仕掛けられたトラップ。ここでウナギを捕獲するが、トラップを外すと通常の魚道となり、ウナギは自由に上流へと遡上できる。

捕獲されたウナギ

捕獲されたウナギ

捕獲したウナギの全長を計測

捕獲したウナギの全長を計測

計数、計測後は上流側へ放流して終了

計数、計測後は上流側へ放流して終了

モニタリングへの参加

このモニタリングプログラムへ、主体的に参加していただける団体や個人を募集します。これから導入のための試行を開始するところですので、状況を伺いながら、実施の可否をご相談させていただきたいと思います。なお、以下の条件を満たしていることが理想です。当該水域の状況を確認のうえ、ご連絡ください。当該水域の状況によっては、ご希望に添えない場合があることをご承知おきください。

  1. 主体的に、継続的にモニタリングを行えること
  2. シラスウナギの来遊がある、または期待できる水系で活動できること
  3. ウナギの遡上を阻害する落差工や堰などの河川横断工作物が存在すること
  4. 組織を形成し、ボランティアでの調査が可能であること
  5. 魚道の設置にあたり、河川管理者との調整が可能であること
  6. 採集調査にあたり、都府県担当者(水産課など)との調整が可能であること
  7. 設置費用をある程度負担できること(費用負担の配分や助成金の獲得方法などについては、相談しましょう)

上記の条件のうち5や6など、行政との調整については、お手伝いさせていただきます。そのほかの項目や、上記項目以外のことでも、お気軽にご相談ください。上記の諸条件がある程度クリアされているか、またはクリアできる可能性があるか、お話ししながら方向を探りましょう。

始めてみないとどの程度うまくいくのかわからない部分があります。モニタリングの試行にお付き合いいただける方は、中央大学の海部までメールでご連絡ください。自然保護団体や漁業協同組合だけでなく、学校やクラブ活動などからの応募も歓迎いたします。

連絡先:以下の研究者情報データベースから、「>>連絡フォームはこちら」をクリックしてください。直接海部にメールを送ることができます。

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