日刊 世界のウナギニュース(2016年6月1日)

ちょっと間が空きました。

★英ロンドンで5/31、The Sustainable Eel Group(SEG)により国際ウナギ会議が開かれた。この半年間調査を行ってきたシラスウナギの違法取引が主題の一つで、ヨーロッパ全体のウナギの管理モデルや、ヨーロッパにおける産業の流通透明化に向けた取り組みなどについての講演が行われた。
“PRESS INVITATION: “THE ILLEGAL TRAFFICKING OF EELS TO ASIA IS EUROPE’S OWN IVORY TRADE”” (The Sustainable Eel Group, UK)
http://www.sustainableeelgroup.org/2016/05/30/press-invitation-the-illegal-trafficking-of-eels-to-asia-is-europes-own-ivory-trade/
“Eu eel industry works to stop trafficking into Asia” (IntraFish, NO)
http://www.intrafish.com/fisheries/761691/eu-eel-industry-works-to-stop-trafficking-into-asia
“The Sustainable Eel Group: “Stop Illegal Trafficking of Eels to Asia””
(PR Newswire, US)
http://www.prnewswire.com/news-releases/the-sustainable-eel-group-stop-illegal-trafficking-of-eels-to-asia-581400031.html
“Die Sustainable Eel Group: “Stoppt den illegalen Schwarzhandel mit Aal
nach Asien” (finanzen.net, DE)
http://www.finanzen.net/nachricht/aktien/Die-Sustainable-Eel-Group-quot-Stoppt-den-illegalen-Schwarzhandel-mit-Aal-nach-Asien-quot-4912241

★奇しくも同日に日本で開催された2016年日本ウナギ会議が取り上げられています。
“「正確な資源量調査を」日本ウナギ会議が会合” (産経ニュース、日本)
http://www.sankei.com/life/news/160531/lif1605310031-n1.html

★「違法・無報告・無規制(IUU)漁業の防止、抑制、廃絶のための寄港国措置協定」が6/5にFAOにより発効される。これにより、寄港国が、外国漁船の漁業記録や貨物情報の提出を要求したり、入港拒否した漁船の情報共有等が可能になるという。IUU漁業で多く捕獲されているのはマグロ、ウナギ等需要の高い魚種。日本が本協定を批准する見通しは立っていない。
“密漁品規制が遅れる日本 欧米など新協定5日発効” (東京新聞、日本)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201605/CK2016053002000246.html

★デンマークの国立水産資源研究所が50万匹のシラスウナギを放流する。放流されるのは、元々南ヨーロッパに生息していたもので、放流により増えるという確信はないが、密度が高い場所から低い場所に移動させることで生残率が高まるのではないか、と関係者は期待している。デンマークではこの25年に90%の個体群が減少し、原因は農業等により河川環境が変化して生息場が減少したためだと考えられている。
“Udsætning af babyål skal hjælpe truet ålebestand” (BT, DK)
http://www.bt.dk/danmark/udsaetning-af-babyaal-skal-hjaelpe-truet-aalebestand

★ニュージーランドの第一次産業省は、絶滅が危惧されているlong fin eelと、よく見られるshort fin eelの管理方法を異なるものにしていく事を決めた。ニュージーランドでは2013年にオンブズマン(The Parliamentary Commissioner、
「公的サービスを監視し評価する機関」。http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/tyosa/h22kokusai/2_5.html
より引用)がlong fin eelsの資源状態を調査しており、同種が徐々に絶滅危惧に近づいて行っていると判断。国際的な専門家は、第一次産業省が漁獲量の上限を決定する際に用いた情報が限定的だとして批判していた。オンブズマンのWright氏は、明らかに回復しているという証拠が得られるまでは、商業目的の捕獲を一旦停止していきたいと話した。
“Environment Commissioner welcomes step toward saving longfin eels” (
Voxy, NZ)
http://www.voxy.co.nz/national/5/253320

「日刊 世界のウナギニュース」は 平日の(およそ)毎日、研究室スタッフの山岡が世界のウナギニュースを厳選し、海外のものは抄訳をつけてお届けします。

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